労働雇用促進省が労働者寄りの新労働法ドラフトを発表

(ペルー)

リマ発

2022年04月20日

ペルー労働雇用促進省(MTPE)は4月13日、同省特別委員会作成の新たな労働法のドラフトとそれに対するパブリックコメント(意見公募)をMTPEホームページ上外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで募るMTPE省令第092-2022-TR号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを公布した。ベッツィー・チャベス労働雇用促進相は同日、各労働組合代表者に対して「就任時から約束してきた、過去30年で様々な規定によって複雑化し、雇用の不安定化をもたらしてきた旧労働法の改正を今、達成した」と述べ、同ドラフトが現在の雇用情勢に合致したかたちで更新されていることを強調した。さらに、新労働法ドラフトにおける463項目のうち178項目は既に国家労働雇用促進委員会(CNTPE)(注)の中で同意が得られているとしており、発表から20日間の意見公募期間を通じて労使双方からの意見を募った上で、閣僚会議を経て議会に送られることになるとしている。

雇用主側は4月18日、チャベス労働雇用促進相に対してペルー経団連(CONFIEP)やペルー工業協会(SNI)など9団体連名の書状を提出し、2021年11月26日公布のMTPE省令第232-2021-TR号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますで定められたように、CNTPEにおいて産業界を含めた三者間での議論の場を設けるよう求めた。これに対して、チャベス労働雇用促進相は同日に産業界の9団体と面談し、4月22日にCNTPE協議スケジュールを発表することで合意し、今後、同委員会内で既に同意を得ている項目以外が議論されることになった。

新労働法ドラフトでは、第三者委託(アウトソーシング)については「基幹作業業務での適用の禁止」や「アウトソーシング労働者を利益分配制度の対象とすること」「派遣先または派遣元に対する報酬の請求期間を現行の1年以内から4年以内に拡大」などが、労働者寄りの内容だとの指摘を受けている。その他にも、労組設立最低人数を現行の20人から10人に変更、労働者側都合によるスト権の付与(企業側に法的落ち度がない場合でも)、解雇手当の上限撤廃(現行法では勤続1年当り解雇時の月給1.5倍、12回分の支給上限としていたが、これを廃止する)など、企業側には不利益な内容となっており、専門家からは非正規労働や雇用者の増加を懸念する声が上がっている。

(注)労働雇用促進相を委員長として、労働者側からペルー労働者総連合(CGTP)、ペルー中央統一労働組合(CUT)、ペルー労働者連合(CTP)、ペルー労働組合自治連合(CATP)、産業界からはペルー銀行協会(ASBANC)、ペルー鉱業石油エネルギー協会(SNMPE)、ペルー建設業商工会議所(CAPECO)、ペルー貿易業協会(COMEX PERÚ)、ペルー全国漁業組合(SNP)、ペルー工業協会(SNI)、リマ商工会議所(CCL)、ペルー輸出業協会(ADEX)、ペルー中小企業協会(APEMIPE)、ペルー小規模企業集合体(CPEP)が参加。その他の7団体も参加。

(設楽隆裕)

(ペルー)

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