バイエルン州、フラウンホーファーの半導体関連研究を助成

(ドイツ)

ミュンヘン発

2022年03月01日

ドイツ・バイエルン州の経済・開発・エネルギー省は2月16日、バイエルン州内にあるフラウンホーファー研究所の3研究所が行う半導体の研究開発などに対して、総額6,000万ユーロを助成すると発表した(同省プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

プロジェクトを実施するのは、ドイツ国内に75あるフラウンホーファー研究所の研究施設のうち、ミュンヘンにある「マイクロシステム・固体技術研究所(EMFT)」、ミュンヘン近郊の「応用・統合セキュリティ研究所(AISEC)」、バイエルン州北部エアランゲンにある「集積回路研究所(IIS)」の3つの研究施設。

これらの研究施設は助成を受けて、信頼性の高い電子工学技術を研究するコンピテンスセンター設立を含む「トラステッド・エレクトロニクス・バイエルン(Trusted Electronics Bayern)」プロジェクトを実施する。コンピテンスセンターでは、信頼性が求められる重要なインフラ設備だけではなく、インターネットに接続された一般向け製品にも使用する半導体の設計・試作などを行う。バイエルン州の経済・開発・エネルギー省から2,930万ユーロ、EUの「結束と欧州の地域のための復興支援プログラム(REACT-EU)」から570万ユーロの計3,500万ユーロが助成される。さらに、EMFTについてはクリーンルームの研究インフラ整備に対して、REACT-EUから2,500万ユーロが助成される。

フーベルト・アイバンガー経済・開発・エネルギー相は今回の助成について、「信頼性や安全性が求められる半導体の研究開発はこれまで軍事向けに限定されていた。今回のコンピテンスセンターの設立により、(このスペックの半導体の研究開発を)一般向けの電子・電機機器にも広げたい」とコメントした。ライムント・ノイゲバウアー・フラウンホーファー研究所理事長は「マイクロ・ナノ技術は自動車、エネルギー、機械など多くの産業で重要な役割を果たす。マイクロ・ナノ技術の開発を進めることは、イノベーションを呼び起こすためのみならず、国際競争の中でドイツと欧州が産業立国であることを示すために、戦略上重要な要素だ」とした。

EUレベルでも、欧州委員会が2022年2月、EU域内での最先端半導体の研究開発、設計から生産までのエコシステムの確立を目指す、欧州半導体法案とその政策文書を発表するなど(2022年2月10日記事参照)、技術的主権の確保を目指している。ドイツ・バイエルン州には、車載向け半導体に強いインフィニオンテクノロジーズや光半導体を手掛けるオスラム、半導体用シリコンウエハーのシルトロニックなど、多くの半導体関連企業が集積している。

(クラウディア・フェンデル、高塚一)

(ドイツ)

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