ファクタリング制度で売掛債権取り扱い拒否の企業に初の罰則適用

(ペルー)

リマ発

2022年03月23日

ペルー生産省(PRODUCE)は3月15日、ファクタリング制度を活用して登録した売掛債権に対する支払いを故意に拒んだ、または阻害した3社に対して、初めて罰則を科したと、プレスリリースを通じて発表した。PRODUCEは2017年9月7日発令の大統領令第259-2017-EF号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによりファクタリング制度に関する制裁機関に指定されている。同令には、ファクタリング制度の利用者と請求先(取引先)双方に関する罰則規定も設けられており、今回は制度利用者の小規模零細企業からの売掛債権の取り扱いを拒んだ取引先3社が制裁を受けた。PRODUCEによる制裁内容はエンジニアリング建設会社のモタ・エンジル・ペルー(MOTA-ENGIL PERÚ)が20 UIT(注)、小売業のエスティロス(ESTILOS)と製薬研究所のビタ・ファーマ(VITA PHARMA)がそれぞれ10 UITの罰金を科せられた。

ペルーファクタリング協会(APEFAC)のアレハンドロ・ニケン会長は今回の制裁について「PRODUCEの小規模零細企業産業監督管理制裁局による措置を歓迎する。ファクタリング業界にとって大きな前例となる。これにより大手企業のファクタリングによる売掛債権に対する認識も変わるだろう」と評価した。APEFACによると、2022年は半数近くの小規模零細企業がファクタリング経由で資金調達を行う予定にあると分析しており、特に教育や医療、農産品輸出、建設、鉱業分野などの企業の利用が見込まれているという。

ホルヘ・ルイス・プラド生産相は、2021年のファクタリング取引額は前年比50%増の223億ソル(約7,114億円、1ソル=約31.9円)、取引売掛債権数は90万8,030件に上ると述べている。また、2022年も前年比12%増の250億ソルの見通しを示し、「新型コロナ禍」における経済活動再開時の有効な資金調達制度であることを強調した。

(注)UIT(課税単位)。2022年1月から1 UITは4,600ソル(約14万6,740円、1ソル=約31.9円)(大統領令第398-2021-EF号、2021年12月30日公布)。

(設楽隆裕)

(ペルー)

ビジネス短信 f45d9c2bf1c261e9