バイデン米政権、バイ・アメリカン強化の最終規則を発表、2022年10月25日施行

(米国)

ニューヨーク発

2022年03月07日

米国のバイデン政権は3月4日、バイ・アメリカン政策強化を目的とした連邦調達規則の改正に関する最終規則を発表した。3月7日に官報で公示外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますし、施行は2022年10月25日からとなる。それ以降、連邦政府が予算を投じる事業に同規則が適用されることになる。

ジョー・バイデン大統領は就任直後にバイ・アメリカン政策の強化に関する大統領令に署名しており、その後、行政管理予算局(OMB)に専任の高官ポストと「メード・イン・アメリカ室(MIAO)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を新設し、連邦調達規則の改正を進めていた。2021年7月に改正案を発表するとともに、パブリックコメントを募集していた(2021年7月30日記事参照)。今回の最終規則はそれらコメントを踏まえたものとなる。要点は次の3点となっている。

(1)国内調達要求の基準比率を最終的に75%へ引き上げ:現時点では、米国内で調達した部材の費用が「55%を超える」最終製品を「国内建設素材」「国内最終製品」(注)と認めているが、2022年10月25日から基準比率を60%、2024~2028年の5年間は65%、2029年以降は75%に引き上げる。

(2)基準比率の例外的な後ろ倒し:2029年12月31日まで、調達当局が基準を満たす「国内建設素材」「国内最終製品」がない、または妥当な価格での同素材・製品の調達ができないと判断した場合に、現行の55%の基準比率を適用することができる。

(3)国内最終製品と認められた「重要製品」に対する価格優遇の枠組みを創設:現時点では、連邦政府機関が調達価格を算定するに当たって、入札企業に対し、(a)「国内最終製品」を採用する場合は外国製品と比べて大企業なら20%、中小企業なら30%の価格優遇、(b)「国内建設素材」を採用する場合は企業の規模を問わず外国製品と比べて20%の価格優遇を与えているが、それらが「重要製品」に該当する場合はさらなる優遇幅を認める。

ただし、「重要製品」の指定と優遇幅の設定については、規則を別途制定するとしているため、3の部分は未完成の状態となっている。また、改正案時点では、「重要製品」に関する国内調達比率の報告義務を追加するとしていたが、これについても、別途の規則制定で扱うとしている。バイデン大統領は同日の会見で、歴代政権はバイ・アメリカンを掲げつつも実現できていなかったが、「私の政権ではバイ・アメリカンを実現する」と強調した。また「重要製品」に含まれ得る分野として、半導体や医療製品、先端電池などに言及した。なお、ホワイトハウスは最終規則の要点や、最近のインフラ関連の投資事例を紹介したファクトシート外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますも発表しており、その中で今回の最終規則は国際的な通商法と整合的であり、国内調達の慣行において米国が他国と同等になることを可能にするとしている。

(注)「国内建設素材」は建設に要する素材を指し、「国内最終製品」はそれ以外のあらゆる製品を指す。詳しい定義は連邦調達規則の25.003「定義」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(磯部真一)

(米国)

ビジネス短信 e65bb07f5ec30555