英政府、充電設備の拡大を目指す「EVインフラ戦略」を発表

(英国)

ロンドン発

2022年03月28日

英国政府は3月25日、2030年までに電気自動車(EV)の公共充電設備設置台数を30万台に増やす計画を示した「EVインフラ戦略外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表した。国内の公共充電設備は2021年12月末時点で 2万8,375台設置されている(添付資料図1参照)。同戦略では、EVの充電がガソリン車やディーゼル車の給油よりも簡単で安価になることを目指すとしている。

具体的には、国内の充電ネットワークを拡大し、公平かつ国内全体をカバーするものとすることを目的としている〔2022年1月1日時点の人口10万人当たりの充電設備設置数(地域別)は添付資料図2参照〕。また、路上駐車ができない人や長距離移動のために、急速充電設備に重点を置いた支援を行い、消費者の利用体験を向上させるとしている。そのために厳格な新基準と法律を導入する予定としている。

また、政府は、充電設備に関するリアルタイムのデータを消費者に提供することを事業者に義務付けるとしている。これにより、消費者が価格比較を行い、非接触型カードで料金を支払えるようになる。また、アプリから利用可能な充電設備を探すことも可能にするとしている。

政府は、英国全土に高品質でかつ、競争に基づいた価格の公共充電設備を導入するために5億ポンド(約800億円、1ポンド=約160円)を投資する。このうち4億5,000万ポンドは「地域EVインフラ(LEVI)基金」として、EV充電拠点や革新的な路上充電などのプロジェクトの支援に使われる。

英国自動車製造販売者協会(SMMT)のマイク・ホーズ会長は3月25日付の同協会の声明外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますにおいて、同戦略について「充電インフラはEVの急速な販売増に追いつく必要がある」「全国的に迅速に展開することで、ドライバーは、どこにいても給油と同じように簡単に充電できるようになるという確信を持つことができる」とした。

また、政府は同日、道路交通の脱炭素化を達成するための政府と業界の共同コミットメントの概観を示した「自動車ロードマップ外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表。同ロードマップは、自動車業界のゼロ排出車への移行を可能にし、それに向けた計画をより効果的に立てることができるよう発表済の政策をまとめたもの。なお、EVは、英国政府の「グリーン産業革命のための10項目の計画」(2020年11月20日記事参照)の項目の1つだが、他の項目についても、政府は2022年中にロードマップを発表するとしている。

BPは新たな目標を発表

英石油大手BPは同日、同社子会社でEV用充電設備事業を行うBPパルスを通じて、英国のEV充電設備の拡大に今後10年間で10億ポンドを投資すると発表。設置台数を2030年までに現在の約3倍に増やすほか、超急速充電ポイント(注)の展開を加速するとした。

(注)BPによると、150キロワット(kW)および300kWの充電設備。設備はEVのモデルによって異なるが、10分程度の充電で最長100マイル(約160キロ)走行可能。

(宮口祐貴)

(英国)

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