ウクライナ情勢は欧州自動車部品部門にも多方面で影響及ぶ

(EU、ロシア、ウクライナ)

ブリュッセル発

2022年03月07日

欧州自動車部品工業会(CLEPA)は3月4日、ロシア・ウクライナ情勢の急変に伴う自動車部品業界のグローバルサプライチェーンへの影響(第1報)を発表した(プレスリリース)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。CLEPAは、ウクライナ情勢が長期化すれば、半導体や原材料の供給不足といった影響が出るほか、エネルギー価格がさらに高騰するとの強い懸念を示した。部品業界は現地従業員への支援や、EUと世界各国のロシアに対する経済制裁への対応や事業継続のため他の供給元の確保に最大限努力し、CLEPAとしても会員企業への関連情報の提供を随時行っていくと述べた。

CLEPAによると、ウクライナでは主に西部に自動車産業が集積し、欧州から7社が配線やケーブル生産工場を持っており、既にフォルクスワーゲンとシュコダが自社の生産に短期的に影響が出ると発表している。また、ロシアにはルノーやステランティスを含め、世界の主要自動車メーカーの組み立て、生産工場が34カ所あり、欧州からも30社以上の部品メーカーが生産拠点を持っている。ロシアの自動車生産は国外からの部品供給に大きく依存しており、EU部品業界にとって同国は第5位の輸出先となっている。

欧州への原材料供給について、CLEPAによると、ウクライナはEUにとって鉄鋼(29%)、半導体生産に必要なネオンなど貴ガス(noble gas、注)の最大の供給元だ。ロシアはEUにとっての供給元として、一次アルミニウム(9%)や鋼材半成品(42%)、世界的にはパラジウム(42%)、プラチナ(12%)、ロジウム(9%)、ニッケル(11%)などの重要な存在だ。今回、ロシアからの原材料供給の大部分が停止し、同国からの鉄鋼製品に頼っていた企業の中には2月末から納品ができなくなった企業もあるという。また、各社ともネオン、パラジウム、ニッケルの供給不足に備えているという。

物流手段も制限受け、対ロ制裁の明確な情報が必要と指摘

物流への影響も拡大している。ポーランドの物流企業が雇用するウクライナ人のトラック運転手の多くが出国不可能となり、国境でトレーラーの荷台を分離して別のトラックに接続する必要が出ている。また、ウクライナ、ベラルーシを経由するEU・中国間の貨物輸送鉄道が停止しているほか、EUとロシアが相互に航空機発着を禁止したため、航空貨物便も停止している。さらに、ウクライナ、ベラルーシ向けの船便にも影響が及んでいる。

EUの対ロシア制裁(2022年3月2日記事参照)について、CLEPAはEUの制裁対象物品リストに自動車部品は少ないものの、センサーやGPS活用ソリューションなどは制裁対象かどうか、企業が明確に判断できないものがあると指摘。また、ロシア7銀行が国際銀行間通信協会(SWIFT)システムから排除されることになった(2022年3月3日記事参照)ため、納品済みの部品の代金回収が困難になり、部品企業の事業にさらに影響が出るとした。

CLEPAは日本や米国、英国なども対ロシア制裁を実施し、さらに、EUがベラルーシへの追加制裁を行うことから、対応を迫られる企業に対して明確で確実な情報提供が重要だと指摘した。

(注)元素周期表18族に属するヘリウム、ネオン、アルゴンなど6元素のこと。

(滝澤祥子)

(EU、ロシア、ウクライナ)

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