東部3州で水素ハイウエー開発

(オーストラリア)

シドニー発

2022年03月31日

オーストラリア東部に位置するニューサウスウェールズ(NSW)州、ビクトリア(VIC)州、クイーンズランド(QLD)州は3月25日、水素ハイウエーの開発に向けて協力する方針を発表した。オーストラリアの人口の8割近くを占める3州を結ぶ輸送ルートを対象に、重量物輸送用の水素燃料補給インフラを整備し、脱炭素化を推進する。

3州が結んだ覚書では、NSW州とVIC州を結ぶヒューム・ハイウエー、NSW州とQLD州を結ぶパシフィック・ハイウエー、VIC州とQLD州を結び、NSW州内陸部を縦断するニューウェル・ハイウエーなどの幹線道路で、2026年までに再生可能水素(注)の補給ネットワークの構築を目指す。まずは、NSW州とVIC州がそれぞれ1,000万オーストラリア・ドル(約9億2,000万円、豪ドル、1豪ドル=約92円)を拠出し、ヒューム・ハイウエーに水素充填(じゅうてん)ステーションを少なくとも4カ所設置するほか、長距離輸送用の水素燃料電池トラック向けの助成金を提供する予定だという。

水素ハブ構築に40億豪ドル超の関心表明

NSW州政府は3月28日、2021年10月に発表した同州の水素戦略(2021年10月14日記事参照)の下、7,000万豪ドルの拠出をコミットしているイラワラやハンターバレーでの水素ハブ構築に対して、産業界から40億豪ドルを超える関心表明(EOI)が提出されたことを明らかにした。提案されたプロジェクトを合算すると、電解槽の容量は最大5,900メガワット(MW)、水素の生産量は年間約26万8,000トンに達する見込みで、NSW州政府の目標をはるかに超える規模だという。

(注)再生可能エネルギー由来の電力を利用して、水を電気分解して生成される水素。製造過程で二酸化炭素を排出しない。

(住裕美)

(オーストラリア)

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