文大統領、エネルギーミックスの転換の必要性を強調

(韓国)

ソウル発

2022年03月04日

韓国の青瓦台(大統領府)は2月25日、「グローバルエネルギーサプライチェーン懸案点検会議」の開催結果を発表した。文在寅(ムン・ジェイン)大統領の主な発言は以下のとおり。

1.原発が有するエネルギー源としてのメリットがあるものの、韓国の原発の密集度は世界最高水準で、かつ、特定地域に密集している。事故が発生した場合、被害は甚大なため、エネルギーミックスの転換が不可避だ。

2.韓国政府のエネルギー転換政策として、新規原発の建設中止、老朽原発の運転延長の禁止などを2084年まで長期にわたり、段階的に推進する。

3.原発が持続運営される今後60年間は、主力の基底電源として十分に活用しなければならない。ただし適切な稼働率を維持しながら、原発の安全性の確保に万全を期してほしい。

4.原発においても世界を先導する技術を確保することが重要で、原発の安全性を高める技術、原発の解体技術、小型モジュール式原子炉(SMR)の研究、核融合研究のペースも上げていく。使用済み核燃料の処理方針についても早期に検討し、結論を出してもらいたい。

5.世界各国はそれぞれの事情に応じてエネルギーミックスを選択しており、原発を必要とする国・地域が韓国の技術と経験を高く評価し、韓国からの原発の輸入を希望している。このような国・地域に原発を輸出することは当然のことだ。

現地では、文大統領の「今後60年間は原発を主力の基底電源とする」という発言に対して、脱原発政策からの転換だとして批判の声も上がる。一方、3月2日にYTNラジオに出演した青瓦台のパク・スヒョン国民疎通主席秘書官はこれを否定。2084年までの脱原発を目指す方針に変化はない、と強調した。

(当間正明)

(韓国)

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