水の使用総量と強度に関する第14次5カ年規画、各地方に目標を通知

(中国)

上海発

2022年03月24日

中国・水利部と国家発展改革委員会は3月11日、「第14次5カ年規画における水使用総量と強度のダブルコントロール目標の通知」外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(以下、通知)を発表した。2021年3月の全国人民代表大会(全人代)で決定された第14次5カ年規画(2021年~2025年)における、単位GDP当たりの水使用量を2025年までに2020年比で16%引き下げる目標も、今回の通知で31省・直轄市・自治区へと割り振られている。

通知には、単位GDP当たりの水使用量のほかに、2021年10月28日に国家発展改革委員会、水利部など5部署連名で発表した「第14次5カ年規画における節水型社会建設外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」で掲げられた以下の目標も含まれている。

  • 水使用総量は6,400億立方メートル。このうち、非伝統的な水(注1)の使用量は170億立方メートル。
  • 工業生産増加額(付加価値ベース)1単位当たりの水使用量(注2)は、2025年までに2020年比で16%引き下げる。
  • 水田における灌漑水の有効利用係数(注3)を0.580にする。

通知では、水の使用総量は、江蘇省(620億立方メートル)、新疆ウイグル自治区(563億立方メートル)、広東省(435億立方メートル)の順に多い。非伝統的な水の使用量は、江蘇省(15億2,000万立方メートル)、山東省(15億立方メートル)、河北省(14億2,000万立方メートル)の順に多い。単位GDP当たりの水使用量の引き下げ幅(2020年比)は、福建省、江西省、雲南省、新疆ウイグル自治区が20%と最も大きく、次いでチベット自治区(19%)、安徽省と海南省(18%)となっている。産業生産増加値当たりの水使用量の引き下げ幅(2020年比)は、貴州省が20%と最も大きく、次いで江蘇省(19%)、浙江省、安徽省、福建省、江西省(18%)となっている。水使用量の引き下げ幅の目標が2番目に大きい江蘇省には、日系企業の工場も多い。同省での操業では一層の節水などが求められる可能性がある一方、非伝統的な水の使用量も大きいため、水処理を得意とする日本企業にとってはビジネスチャンスとなる可能性がある。

(注1)表流水、地下水のような伝統的な水資源に対して、海水淡水化や下水の再利用などによる水資源のこと。

(注2)工業生産増加額(付加価値ベース)1単位当たりの水消費量。工業生産増加額(付加価値ベース)は、工業分野の企業が生産過程で新たに生み出した付加価値を金額ベースで示したもの。

(注3)作物のために利用できる、畑に灌漑された水の量と、灌漑システムが使用した灌漑水の総量の比率。

(高橋大輔)

(中国)

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