2021年第4四半期のGDP成⻑率は前期比0.3%、2021年通年では3.7%

(スイス)

ジュネーブ発

2022年03月07日

スイス連邦経済省経済事務局(SECO)は2月28日、2021年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率を前期比0.3%と発表PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)した。新型コロナウイルス感染対策の強化措置によりスイス経済の回復ペースは鈍化したものの、回復基調が継続した。2021年通年の実質GDP成長率(速報値)は、前年比3.7%となった。

2021年第4四半期のGDP成長率を需要項目別にみると、内需を牽引する個人消費支出は前期比0.3%の微増にとどまった(添付資料表1参照)。食料品、家庭用品、電化製品などに対する需要が高まった一方で、自動車需要は新車の納期遅延が続く中で急減、旅行や外食需要も減少した。政府消費支出は新型コロナウイルス対策支出により1.0%増と伸び、機械およびITサービス分野の拡大に牽引されて、設備投資は前期の落ち込みから転じて2.4%増となった。

産業別にみると、製造業は世界的な供給難の影響を受けつつも、化学・医薬品分野に牽引され、前期比1.7%増と伸びた。宿泊・飲食サービス業は第3四半期に2.07倍と急回復した後、第4四半期は外食需要が減少し、前期比2.9%減となった(添付資料表2参照)。ヒトの移動が緩やかな増加にとどまったことから、運輸・通信業は前期比1.2%増にとどまり、芸術・娯楽・レクリエーションは第2、3四半期に伸びた後、第4四半期に15.2%減とマイナスに転じた。他の分野では大きな落ち込みはなく、第4四半期の感染対策措置強化による影響は限定的だった。

2021年通年でGDP成長率をみると、スイス経済は2020年通年に記録したマイナス2.4%の落ち込みから3.7%のプラス成長へと急回復した。製造業は11.2%増と力強い伸びを示した。サービス部門もほぼ全分野で急回復し、最も深刻な影響を受けた宿泊・飲食サービス業は4.0%増と2020年の41.8%減の大幅落ち込みからプラスに転じたものの、いまだ「新型コロナ危機」以前の水準には達していない。

(竹原ベナルディス真紀子)

(スイス)

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