英国が航空関連の対ロシア追加制裁を発表、避難民向けの新措置も

(英国、ロシア、ウクライナ)

ロンドン発

2022年03月11日

英国のエリザベス・トラス外務・英連邦・開発相は3月9日、ロシアによるウクライナ侵攻に伴う新たな航空関連の制裁を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。制裁の概要は以下のとおり。

まず、ロシア関係者が英国内に所有する航空機に対する英政府の差し押さえと、指定の個人や企業が保有する航空機の英国での登録を削除することを可能にする。また、ロシアとつながりのある者または指定された個人、企業が所有、運航、チャーターする航空機の英上空の飛行と着陸を禁止する既存の措置を、これらを犯罪とする新たな法律の同日の制定により強化したと発表。さらに、同日追加した貿易措置として、航空、宇宙関連の製品、技術のロシアへの輸出を禁止するとした。これには保険や再保険など関連するサービスの提供も含むとしており、英国の保険、再保険会社は関連部門に対して既存の保険証券に基づく保険金の支払いができなくなる。

また、トラス大臣は10日、金融制裁の対象拡大を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。サッカークラブ・チェルシーのオーナーで、パラジウム大手のノリリスク・ニッケルや鉄鋼エブラズの株式を保有するロマン・アブラモビッチ氏や、石油採掘大手ロスネフチ最高経営責任者(CEO)イゴール・セチン氏、ガスプロムCEOアレクセイ・ミラー氏、石油輸送大手トランスネフチ社長ニコライ・トカレフ氏、VTBバンク頭取アンドレイ・コスチン氏などを含む7人を、英国内の保有資産凍結と英国への渡航禁止の対象とした。

ウクライナ人支援に向け新措置を発表

プリティ・パテル内相は同日、英国人・英国定住者などの家族であるウクライナ人向けのビザ制度「ウクライナ・ファミリースキーム」(注)の変更を発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。これにより3月15日以降、ウクライナのパスポート保有者はオンライン申請手続きが可能となり、渡英前に指紋提出や顔認証のためにビザセンターに赴く必要がなくなる。また、政府は英国と無関係のウクライナ人の呼び寄せについても可能とすべく取り組んでいるとした。ウクライナからの避難民受け入れに関する英国の制度については、EU諸国と比べて厳格との批判があり、英国への入国をより容易かつ迅速にすべきとの意見もみられていた(「フィナンシャル・タイムズ」紙3月7日)。

(注)「家族」の定義を含め、制度詳細は英国政府のガイダンス外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを参照。

(山田恭之)

(英国、ロシア、ウクライナ)

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