日用品配送のゲティル、トルコで2社目のデカコーンへ

(トルコ)

イスタンブール発

2022年03月24日

トルコの日用品配送プラットフォームのゲティル(getir)は3月17日、シリーズEラウンドで新たに7億6,800万ドルの資金調達に成功し、評価額が118億ドルに到達したことを発表した。2015年設立のゲティルは2021年3月にユニコーンとなったばかりで(2021年4月1日記事参照)、約1年で評価額を大きく伸ばし、急速に成長を遂げたことになる。

これにより、Eコマース大手のトレンドヨル(Trendyol、2021年8月11日記事参照)に次いで、トルコで2番目のデカコーン(注1)が誕生した。また、ゲティルは欧州では同分野初のデカコーンで、欧州域内で4番目に規模の大きいスタートアップとなった。

リードインベスターは、アブダビ政府系ファンド、ムバダラ・インベストメント(Mubadala Investment Company)だ。そのほかに、アブダビ・グロウス・ファンド〔Abu Dhabi Growth Fund(ADG)〕、アルファ・ウエーブ・グローバル(Alpha Wave Global)、セコイア・キャピタル(Sequoia Capital)、タイガー・グローバル(Tiger Global)も参加した。

ムバダラ・インベストメントの投資部門トップのイブラヒム・アジャミ氏は「オンラインショッピングは最近の急速な消費者行動の変化に適応しており、特に日用品や食品の配送分野は、世界的にデジタル化の大きな機会も提供している。今後もゲティルがこのセクターを引っ張っていくと信じている」と語った。

高速デリバリー業界には、ゴーパフ(Gopuff)、フリンク(Flink)、ゴリラズ(Gorillas)、ザップ(Zapp)、カジュー(Cajoo)といった同業他社が多く、非常に競争の激しい業界だ。その中で、ゲティルは2021年1月に英国でサービスを開始後、短期間でドイツ、フランス、イタリア、スペイン、オランダ、ポルトガルへと市場を広げてきた。同年11月には米国でもサービスを開始し、合計で国外48都市、トルコ国内では81都市で展開中だ。

同社は、街中に多数設置して運営・在庫管理を行うダークストア(注2)から、従来の配送業者のように配送時間をあらかじめ予約設定することなく、顧客の注文が入ってからバイク便で動き始めるスタイルを取っているため、短時間での配送を可能としている。

(注1)株式評価額(時価総額)が100億ドル以上と評価される未上場のベンチャー企業。ユニコーン(評価額10億ドル)の10倍。

(注2)デリバリーに特化した比較的規模の小さい店舗。

(友田椋子)

(トルコ)

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