山東省、新型コロナ感染が急拡大、防疫体制を強化

(中国)

青島発

2022年03月17日

中国の青島市内で3月4日に5人の新型コロナウイルス感染者が確認されたのを皮切りに、山東省内で感染が拡大している。同省の3月4日から14日までの新規感染者数は合計948人、無症状感染者数は1,510人となった(注1)。

青島市内では黄島区で2月24日に、2020年10月以来約1年半ぶりに感染者(4人)が確認されていたが(2020年10月16日記事参照)、同市衛生健康委員会の発表では、市内で確認された感染者と3月4日以降に青島市内の県級市である莱西(らいせい)市で発生している集団感染は別起源としている。莱西市では、中学校を中心とした集団感染が発生しており、学生とその保護者、教師が感染している。3月15日現在、青島市内の新規感染者数は減少傾向にあるものの、徳州市、威海市、淄博(しはく)市、浜州市など省内複数地域で感染者が確認されており、感染は青島市外に拡大している。

山東省内では、感染者や濃厚接触者の隔離、感染者確認地域などの封鎖管理、一部の小中学校におけるオンライン授業実施などの対応を取っている。ジェトロ青島事務所の位置する青島市市南区では、3月12日と13日の週末2日間で計100カ所以上のPCR検査場が設けられたほか、15日にも同区内の住民を対象とした一斉PCR検査の通知があり、PCR検査場では検査待ちの長蛇の列ができた。

16日午前7時時点で同省内には高リスク地域が7カ所(青島市内2カ所)、中リスク地域が48カ所(青島市内4カ所)存在している(注2)。それに伴い、高・中リスク地域を擁する地域から他地域に移動する場合は、省内の移動でも公共交通機関などでの管理が強化されている。省政府は、(1)2月16日以降に青島市および威海市から、(2)2月25日以降に淄博市および徳州市から、それぞれ山東省内のその他の市へ移動した人々を感染予防フォローアップの対象としている。対象者は速やかに所属社区(注3)に連絡の上、PCR検査の受診などが必要となる。

(注1)輸入感染者数は含まない。

(注2)中国政府は、新型コロナウイルス感染リスクに応じて感染状況などを総合的に判断し、リスク地域を指定している。学校、ビル、道路などのほか、区内の特定地域も含まれる。

(注3)中国民政部は「一定地域の範囲内に住む人々によって構成される社会生活の共同体」と定義。都市部の最も基礎的な行政区画単位。

(西島和希)

(中国)

ビジネス短信 aa7eff25308b9799