広州知財権裁判所の裁判が迅速化、2021年は専利案件5,555件を結審

(中国)

広州発

2022年03月07日

中国・広州知的財産権裁判所(広州知識産権法院)は2月22日、2021年の技術案件の裁判状況について記者発表を行った。

発表によると、2021年の広州知的財産権裁判所における専利権(注)に関する訴訟の新規受理件数は5,403件と、全体の35.4%を占めた。結審(審議終了)件数は、5,555件となり、新規受理件数を上回った(添付資料図参照)。これにより、新規受理件数に占める結審件数の比率は102.8%と、前年の65.5%から大幅に上昇。裁判の迅速化、効率化が進んだ格好となった。

また、同裁判所における2021年の中国本土外が関連する知財訴訟(以下、渉外知財訴訟)の新規受理件数は397件、結審件数は325件だった。同発表について報じた2月22日付の「中国新聞網」の記事によれば、渉外知財訴訟の当事者は米国、日本、EUなど世界の主要な先進国や地域におよび、クアルコム、アップル、サムスン電子など国際的な多国籍企業や、華為技術、TCLなど国内のハイテク分野の大手企業も、知財紛争の解決に当たり同裁判所を選んで提訴するケースが増加しているという。

同発表の中ではあわせて、科学技術イノベーションの発展をサポートする典型的な判例として10例が紹介された。10例のうち、専利権の侵害による紛争案件が6例と最も多く、他の4例は、コンピュータソフトウエアの著作権に関する紛争、技術秘密侵害に関する紛争、技術委託開発契約に関する紛争、植物新品種権侵害に関する紛争だった。分野は、半導体、インターネット、通信、光エレクトロニクス、照明器具、石油化学、新エネルギーおよびバッテリー新技術など幅広い領域におよんだ。

そのうち、ある光エレクトロニクス会社が原告となり、照明器具会社に対し訴訟を起こした案件は、「専利法外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」の改正施行(2021年6月)前の状況下で、2021年1月から新たに施行された「民法典外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」に基づき、専利権侵害案件への懲罰的損額賠償の適用を率先して模索した事例として紹介された。同判例では、照明器具会社の悪意が明白で、権利侵害が長期間に及んだことなどから、6万元の罰金(約108万円、1元=約18円)が科された。

(注)中国では特許、実用新案、意匠を含む。

(謝暁儀)

(中国)

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