2月のインフレ、民間予想を大きく上回る4.7%

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年03月17日

アルゼンチン国家統計センサス局(INDEC)は3月15日、2月の消費者物価指数(CPI)上昇率を発表した。全国平均値は前月比4.7%で、民間の平均予想値3.9%を大きく上回り、単月で過去最高を記録した2021年3月に次ぐ最も高い上昇率となった。前年同月比(年率)では52.3%上昇した。2021年6月以降9カ月連続で50%台の高い上昇率が続いている(添付資料図参照)。

INDECによると、季節により価格が変動する生鮮食品や観光サービスなどの財・サービスは前月比8.4%上昇した。エネルギーや公共サービスなど価格統制された財・サービスは同3.1%上昇。季節要因と価格統制要因を除いたコアインフレ率は同4.5%上昇し、17カ月連続で3%台以上に高止まりしている。

費目別にみると、前月比で最も上昇したのは、CPIに占める比重が大きい食品・飲料(酒類を除く)で、7.5%を記録した。そのほかに大きく上昇したのは、燃料値上げの影響を受けた交通(4.9%)、家財道具・住宅管理(4.4%)、外食・ホテル(4.3%)など(添付資料表参照)。

経済省関係者は2月のCPIについて「主に、干ばつと、ウクライナ情勢によるコモディティー商品の国際価格の上昇が大きく影響した」と説明している。しかし、民間のエコノミストらは「2月末から始まったロシアによるウクライナへの軍事侵攻が、2月の国内の物価上昇率に即時かつ大きく影響したとは考え難い」と分析している。要因としては、食肉の品不足、干ばつや季節要因による生鮮野菜と果物の価格の一時的な急騰、燃料価格の9%の引き上げなどが挙げられている。

3月のインフレも加速しそうだ。3月14日にレギュラーガソリンが9.5%、ハイオクガソリンが11.5%値上げされただけでなく、小麦価格の高騰によるパン類の値上げ、医療保険と私立教育の値上げ、さらには公共料金の値上げも予定されている(3月15日付現地紙「アンビト」)。

INDECの発表を受けて、アルベルト・フェルナンデス大統領は「金曜日(3月18日)からインフレとの戦争を開始する」と発言しており、何らかのインフレ対策を発表するとみられる。対策は、大豆油や大豆粉の輸出税の引き上げ(現状の31%から33%)、小麦の価格上昇を抑制するための信託基金の増額、小麦粉の価格凍結、価格統制制度の強化など、これまで効果が限定的だった措置を再び強化するとみられる。

写真 小麦粉の高騰により30%値上げした菓子パン(ジェトロ撮影)

小麦粉の高騰により30%値上げした菓子パン(ジェトロ撮影)

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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