フェリぺ・アンヘレス新国際空港が開港、利用航空会社の増加が課題

(メキシコ)

メキシコ発

2022年03月23日

メキシコのメキシコ州スンパンゴにあるサンタ・ルシア空軍基地内に建設されたフェリペ・アンヘレス新国際空港(AIFA)が3月21日、開港した。AIFAの建設は、タバスコ州のドスボカス製油所、マヤ観光鉄道の建設、テワンテペック地峡の開発と並ぶ、連邦政府の4大インフラプロジェクトの1つで、そのうち初めて建設が完了したプロジェクトとなる。

同空港の建設をめぐっては、アンドレス・マヌエル・ロペス・オブラドール(AMLO)大統領が就任前に実施した国民の意見公募の結果を理由として、エンリケ・ペニャ・ニエト前政権下で建設が進んでいたメキシコ州テスココの新国際空港(NAIM)の建設を中止し、その代替として国防省がサンタ・ルシア空軍基地を拡張するかたちで建設を行っていた(2018年11月8日記事参照)。

開港式典には、AMLO大統領を筆頭に、グルーポ・カルソのカルロス・スリム・ヘルー会長、バノルテ銀行のカルロス・ハンク・ゴンサレス頭取、大手メディアであるテレビサ・グループのエミリオ・アスカラガ・ジャン会長らの要人を含む1,400人が出席した(現地紙「エル・エコノミスタ」3月21日)。AMLO大統領は式典で、「新国際空港は100%完成した」とし、「あとは乗り入れを行う航空会社が増えていくのを待つだけだ」と述べた。

AIFAで運行を行うのは4社のみ、メキシコ市からの距離がネック

現在、AIFAで運行を行っているのは、アエロメヒコ航空、LCC(格安航空会社)のビバアエロブスとボラリス、ベネズエラのコンビアサの4社で、国際線を就航しているのはコンビアサのみだ。AIFAはメキシコ市の中心地から約50キロ離れた場所に位置しており、メキシコ市国際空港(AICM)(メキシコ市中心地から6.5キロ)と比較して、アクセスに時間がかかることがネックとなっている。乗用車での移動が最も一般的とみられるが、所要時間として渋滞がなくても40分前後、渋滞がある場合には2時間近くかかると見込まれる。連邦政府やメキシコ州政府は、AIFA行きの専用バスを運行し、AIFAにつながる道路の8カ所で拡張工事などを行うなどアクセスの改善に努める。しかし、総額745億3,500万ペソ(約4,173億9,600万円、1ペソ=約5.6円)を投じて建設された(連邦政府プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)同空港の能力としては、年間2,000万人の利用が可能といわれているところ、国防省は2022年内の利用客を250万人程度と見込んでおり、AIFAの建設目的であるメキシコ市国際空港の飽和の改善を実現するまでには時間がかかりそうだ。

(松本杏奈)

(メキシコ)

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