タイからの輸出でのRCEP利用実績、発効後2カ月で約40億円

(タイ、日本、中国、韓国)

バンコク発

2022年03月29日

タイ商務省外国貿易局(DFT)は3月8日、地域的な包括的連携(RCEP)協定の発効後2カ月間(2022年1~2月)で、同協定の特恵関税を利用したタイからの輸出が約11億6,600万バーツ(約42億円、1バーツ=約3.6円)に上ったことを明らかにした。そのうち、日本向けが最大で約5億4,000万バーツ、次いで中国が約4億5,400万バーツ、韓国が約1億7,100万バーツの順に多いという。

RCEPを活用したタイから日本への主な輸出品としては、魚や野菜の調製品・保存食品、繊維類など。一方、中国向け輸出では、キャッサバ、リュウガン、ドリアン、ココナッツなどの生鮮野菜・果物が多い。韓国へは、エアバッグや二輪車、植物油、シャンプー、綿シャツなどが輸出された。

2022年1月と2月のRCEP利用を比較すると、2月のRCEPを利用した輸出額は約8億8,800万バーツで、1月の約2億7,800万バーツに比べて約3.2倍に増えている。1月中は日本と中国向けを中心に利用が進んだが、2月1日から韓国も発効し、同国への輸出が拡大した。

DFTは、RCEPは関税上のメリットだけで選択されているわけではない点に着目すべきだとする。今回の統計をみると、タイの対日輸出で利用が進んでおり、魚の調製品・保存食やツナ缶などが含まれている。これらの製品は、日タイ経済連携協定(JTEPA)と日ASEAN経済連携(AJCEP)協定を利用しても関税率0%を享受できるが、RCEPでは、JTEPA(加工に使用する魚は承認された漁船で獲られたものでなければならない)やAJCEP(魚はAJCEP締約国のもののみでなければならない)などで課せられる条件が不要で、生産用の原材料を調達する際の原産地基準をより簡易に規定しているという。

同様に、中国に輸出される生鮮野菜や果物も、ACFTAを利用しても輸入税が免除されるが、RCEPでは生鮮品については6時間以内、一般品については48時間以内の通関が約束されており、より円滑な通関措置が提供されているのはメリットだ。

また、RCEPの原産地証明では、認定輸出者による自己証明制度が利用でき、当初2カ月間で、宝石、食品、家電、アパレルなど22社の輸出者がDFTに登録・承認された。ただし、同制度を利用した輸出実績はなかった。DFTはこの要因について、輸出者はまだ自社のみで商品の原産地を申告する自信がなく、自己証明の場合は、DFTが発行するフォームRCEPに比べて、厳しく検査されることを不安視しているのではないか、と分析している。

しかし、RCEPの利用を希望する輸出者は、最終的には原産地を自己申告できるよう認定輸出者登録をするよう推奨されており、それが長期的には事務手続きの合理化と文書作成コストの削減に貢献するとしている。

(北見創、シリンポーン・パックピンペット)

(タイ、日本、中国、韓国)

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