米石油サービス大手ベーカー・ヒューズ、高度な地熱発電技術持つグリーンファイア・エナジーに出資

(米国)

ヒューストン発

2022年03月08日

米国石油サービス大手ベーカー・ヒューズ(本社:テキサス州ヒューストン)は3月1日、閉ループ式地熱発電技術を持つ米国のグリーンファイア・エナジー(本社:カリフォルニア州サンフランシスコ)に出資することを発表した。

両社は協力して、既存の非生産地熱井と石油ガス井の両方を発電用の閉ループ式熱生産井に改造することにより、地熱資源開発の拡大を計画している。さらに、両社はプロジェクト実現可能性分析やシステム搭載、世界中のプロジェクト開発で協力する方針だ。

グリーンファイアは、閉ループ式地熱エネルギーシステムを開発しており、グリーンループ(GreenLoop)として知られる同社の主要な革新技術により、生産性の低い井戸、劣化した地熱井、従来の地熱技術では困難な経済プロジェクトなど、地熱産業の重大課題に対応可能としている。

ベーカー・ヒューズのマリア・クラウディア・ボラス上級副社長(油田サービス担当)は「両社の取り組みにより、地熱市場に多大な存在感をもたらすと同時に、非生産地熱源から地熱エネルギーにアクセスする新しい技術を導入する」と述べている。

グリーンファイア・エナジーのジョセフ・シェラー社長兼最高経営責任者(CEO)は「われわれの投資家グループは、地熱事業者が既存の施設で生産を大幅に拡大し、世界中で新しいプロジェクトを開発可能にするという当社の戦略を反映している」と述べている。

石油開発サービス大手のベーカー・ヒューズも、脱炭素に向けた社会的要請が高まる中、再生可能エネルギーなど化石燃料以外の新たな領域での取り組みを加速させている。2021年11月9日に、ターコイズ水素(注)を製造する成長段階の企業カナダのエコナ・パワー(本社:カナダ・バンクーバー)に出資することを発表している(2021年11月16日記事参照)。同年11月10日には、脱炭素化に向け、オランダ石油大手シェル・グローバル・ソリューションズ(本社:オランダ・ハーグ)と、ネットゼロに向けた世界規模のエネルギー転換の加速とエネルギー・産業部門の脱炭素化の促進を目的とする戦略的提携の覚書を結んだことを発表している(2021年11月12日記事参照)。

(注)水素の製造プロセスで二酸化炭素(CO2)排出量などの環境負荷度合いについてカラーイメージで識別することが世界的に広まっており、グリーン、ターコイズ(トルコ石の青さの意)、ブルーなどが「クリーン水素」とされている。

(沖本憲司)

(米国)

ビジネス短信 9362abab7628de6e