ウクライナ情勢、エチオピアは食糧供給・援助や建設部門などへの影響を懸念

(エチオピア、ウクライナ、ロシア)

アディスアベバ発

2022年03月04日

エチオピア中央銀行によれば、2020/2021年度(2020年7月8日~2021年7月7日)の対ウクライナ貿易は、輸出が240万ドル、輸入が4億610万ドルだった。対ロシア貿易は、輸出が1,440万ドル、輸入が1億1,910万ドルで、両国に対して入超だ。輸入は、主に食料油(粗油)、鉄鋼製品、穀物、化学品などとみられる。ウクライナの輸出からみると、エチオピアは、アフリカ諸国向けの小麦・メスリンの輸出先として5位、鉄鋼では3位となっている(2022年3月3日記事参照)。

当地報道では、ロシアのウクライナへの軍事行動は、エチオピアに原油高を通じたインフレ高進をもたらす可能性が指摘されている。また、穀物市場の混乱から受ける影響も懸念されており、政府が調達する国内市場向け小麦の調達だけでなく、非政府機関の食糧支援にも影響が及ぶ、との指摘もある。エチオピアでは2,000万人規模の食糧支援が必要と報じられ、干ばつや国内北部のティグライ州に端を発する紛争が食糧不足の主な要因となっている。今後、こうした状況が長期化すれば、製造業では、パスタ製造(小麦)、食料油生産などの食品加工に加え、建設部門(鉄鋼製品)に影響が及ぶとの懸念がある。他方、輸出は多くないものの、ロシア向けの切り花や、ドイツ経由で入るとされるコーヒー豆の需要減退が懸念されている。

(関隆夫)

(エチオピア、ウクライナ、ロシア)

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