習近平主席、食糧安全の重要性を強調

(中国)

中国北アジア課

2022年03月14日

中国政府は、食糧の安定的な確保に向けた取り組み姿勢を強めている。習近平国家主席は3月6日、全国政治協商会議の農業分野などの委員との会合に出席し、「中国は世界の9%の耕地面積、6%の淡水資源で、世界の5分の1近い人口を養っている」と述べ、世界の食糧供給に対する中国の貢献を強調した。

その上で習主席は食糧の安定的な確保について、「『糧食』(注1)の安全にいささかの油断もなく取り組んでいく必要がある。国際市場に依存した解決を追求してはならない。国内に立脚し、生産能力を確保し、適度に輸入し、科学技術がサポートするかたちを堅持していかなければならない」と、あくまでも国内生産を主体としていく姿勢を強調した。

生産量は過去最高、輸入も過去最高を記録

2021年の中国の「糧食」生産量は6億8,285万トンと過去最高、主要穀物のコメ、小麦、トウモロコシも過去最高を記録した(添付資料表参照)。一方で、同年の「糧食」の輸入量も1億6,454万トンで、過去最高を記録している(注2)。

習主席は「『糧食』の年間生産量は6億5,000万トン以上を保持し、中国人の茶わんには主に中国産の『糧食』が入っている状態を確保しなければならない」とした上で、「最も厳格な耕地保護制度を実行していく必要がある。18億ムー(注3)の耕地面積を実質的に確保していかなければならない」と、耕地の確保に全力を挙げて取り組む姿勢を示した。

「糧食」の確保に向けて、中国政府は種苗業の発展を重視していく方針だ。習主席は「科学技術を用いた種苗業の発展、原種の安全は、国家の安全にも関連する」とし、「種苗業の発展を図り、種苗業の科学技術の自立強化、原種の自主管理可能な状況を実現していく」との方針を示した。

(注1)中国で用いられている概念。コメ、小麦、トウモロコシなどの穀物に、豆類、イモ類を含める。

(注2)うち、コメは496万トン、小麦は977万トン、トウモロコシは2,835万トン、大豆は9,652万トンを輸入。

(注3)1ムー=666.7平方メートル

(中井邦尚)

(中国)

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