食料安全保障確保のため農家の支援策を発表

(ウクライナ)

ワルシャワ発

2022年03月17日

ウクライナのデニス・シュミハリ首相は3月12日、国内の食料安全保障確保を目的とした農業従事者への支援策を発表した。具体的には、農家に対して融資の利子分を国が負担することや、融資額の80%を国が保証するといった内容が盛り込まれる。シュミハリ首相は「これによりウクライナの農家は資金調達が可能になり、農作物を失った場合でも倒産しないと自信を持つことができる」と同措置導入の意義を語った。

政府は既に食料安全保障確保に向け、3月5日以降の家畜、冷凍牛肉、雑肉、ライ麦、ソバ、エン麦、砂糖、食塩、キビなどの輸出を停止しているほか、今後の輸出の許可・承認が必要な品目のリストに小麦、小麦とライ麦のミックス、トウモロコシ、鶏肉、鶏卵、キャノーラ油などを追加している。

世界銀行によると、ウクライナのGDPに占める農林水産業の割合は2007年時点では6.3%だったが、2020年には9.3%に上昇している。また、2022年3月に公開された国連食糧農業機関(FAO)によると、ウクライナは2021年に世界1位のキャノーラ油の輸出国だったほか、大麦やトウモロコシの世界有数の輸出国でもある。同年のウクライナの小麦は世界の輸出シェアの10%を占め、世界第5位の小麦輸出国だった。

また、ウクライナの農業政策・食料省は、2021年7月~22年2月23日に輸出した穀類・豆類の合計は4,300万トンと発表した。ただ、ロシアによる軍事侵攻が続く中、ウクライナの今後の収穫量は減少すると見込まれており、同国だけではなく、世界の食料安全保障の悪化にもつながると予想される。

(マルタ・ゴロンカ)

(ウクライナ)

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