トカエフ大統領、和平交渉による解決を両国に働き掛け

(カザフスタン、ロシア、ウクライナ)

タシケント発

2022年03月04日

カザフスタンのカシムジョマルト・トカエフ大統領は3月2日、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領、ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領と相次いで電話会談を行い、ロシア、ウクライナ両国に交渉による平和的解決を呼び掛けた(大統領府公式ウェブサイト3月2日)。

トカエフ大統領は、3月1日に開催された与党・ヌルオタン臨時党大会の席でも、ロシア、ウクライナ両国の要請があれば、仲介役を引き受ける意向を示していた(インフォーム・ビューロー3月1日)。

カザフスタン政府は2月25日、首都ヌルスルタン市でのロシアが参加するユーラシア経済連合(EEU)首脳会議において、ウクライナ東部の「ドネツク人民共和国」および「ルガンスク人民共和国」を国家承認せず、中立を堅持する立場を示している。

カザフスタンでは、欧米諸国などによる対ロシア制裁の影響が出始めている。国際銀行間通信協会(SWIFT)からのロシア主要金融機関の排除が決まった週明けの2月28日には、ロシア通貨ルーブル急落の余波を受け、カザフスタン通貨のテンゲは1ドル=434テンゲから1ドル=500テンゲに下落した。市内の家電量販店では輸入家電製品が30%値上がりし、スーパーマーケットでは一時的に駆け込み需要による混雑がみられた。政府と中央銀行は為替介入を行い、食料品を中心とした流通と価格の動向を注視しているが、制裁が長期化すれば、インフレは避けられない状況だ。両国の和平交渉を進展させることが、カザフスタン自身にとっても重要な問題となっている。

(増島繁延)

(カザフスタン、ロシア、ウクライナ)

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