米ニューヨーク州職員退職年金基金、ロシア企業の株式などの売却決定

(米国、ロシア、ウクライナ)

ニューヨーク発

2022年03月30日

米国ニューヨーク州職員退職年金基金は3月25日、保有するロシア企業の株式などを売却していく方針を決定外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした。同基金は3月1日にロシア企業に対する新規投資の禁止と投資済み案件の精査を発表していたが(2022年3月10日記事参照)、ロシアによるウクライナ侵攻は許容できない投資リスクと判断し、ロシア企業関連資産の売却を決定した。

3月1日発表の報告によると、同基金が保有するロシア企業関連資産は1億1,080万ドルで、全保有資産の0.04%程度にすぎず、基金運用に与える影響は非常に軽微とみられるが、ロシア通貨ルーブルの為替レートがウクライナ侵攻前と比べて対米ドルで約15%下落し、ロシア企業関連資産に対する市場流動性は非常に低いため、売却の判断は慎重に行うとしている。

年金基金によるロシア企業関連資産の売却は、ノルウェーやオランダ、スウェーデンなど欧州を中心に世界的に広がっており、米国内でも同じニューヨーク州の警察官年金基金(ブルームバーグ3月29日)や、コネチカット州やペンシルベニア州の年金基金が相次いでそうした方針を決定している(3月1日ロイター、3月4日NBC)。

ニューヨーク州職員退職年金基金は、州が所管する年金基金として全米3位の資産規模で影響力を持つため、こうした流れが米国内でさらに加速していく可能性がある。なお、全米1位のカリフォルニア州カルパース(州職員退職年金基金)はロシア企業に対する新規投資の停止を決定済みだが(2022年3月4日記事参照)、資産の売却については決定しておらず、同2位のカリフォルニア州カルスターズ(州教職員退職年金基金)とともに、今後の動きが注目される。

(宮野慶太)

(米国、ロシア、ウクライナ)

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