「ドライブ・マイ・カー」がアカデミー賞の「国際長編映画賞」に、米興行への影響大

(米国、日本)

ロサンゼルス発

2022年03月30日

第94回米国アカデミー賞の授賞式が3月27日に開催され、日本映画「ドライブ・マイ・カー」が国際長編映画賞を受賞した。同作品は1月に発表された米ゴールデングローブ賞の非英語映画賞や、全米批評家協会賞の作品賞をはじめ、世界各国で高評価が続いていた(2022年1月13日記事参照)。今回のアカデミー賞でも、作品賞(日本映画としては初のノミネート)監督賞、脚色賞、国際長編映画賞の4部門にノミネートされ、受賞が期待されていた。日本映画の「国際長編映画賞」受賞は、滝田洋二郎監督の「おくりびと」(2009年に前身の外国語映画賞を受賞)以来13年ぶりとなった。

同映画の濱口竜介監督は、アカデミー賞授賞式に先立って2月1日に開催されたジャパン・ハウス ロサンゼルス主催ウェビナー「MA in Japanese Film」にゲストとして参加し、「米国で『ドライブ・マイ・カー』がこれだけ受け入れられている状況は想像していなかったので、とても驚いている」「今の時点で十分に評価をいただいているということを感じており、このことによって観客が映画館に向かってこの映画を観てくれることが一番うれしい」と語った。

アカデミー賞といった主要映画賞へのノミネートや受賞がもたらす興行への影響は大きく、米国映画興行成績分析サイトのボックス・オフィス・モジョによると、「ドライブ・マイ・カー」が公開された2021年11月24日時点の上映館数は全米で2館のみだったが、全米批評家協会賞と米ゴールデングローブ賞の授賞が発表された2022年1月9日の翌週末(1月14日~16日、週末には金曜日を含む)には65館に増加した。また、アカデミー賞へのノミネート作品が発表された2月8日の直後の週末(2月11日~13日)には127館、さらに翌週(2月18日~20日)には213館へと急増しており、各映画賞が映画産業に大きな影響を与えていることが分かる。この映画の配給会社ヤヌス・フィルムズとサイドショーの担当者は「外国作品には参入障壁がつきもので、この映画は3時間の外国作品だが、週を追うごとにその壁が小さくなってきているように感じる」と述べている(ハリウッド関連メディア「デッドライン」2月11日)。

なお、「ドライブ・マイ・カー」がノミネートされていた作品賞と脚色賞は「コーダ あいのうた」、監督賞は「パワー・オブ・ザ・ドッグ」のジェーン・カンピオン監督がそれぞれ受賞した。

(トーレス久美子)

(米国、日本)

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