ウクライナ情勢でトルコの貿易や物流が混乱

(トルコ)

イスタンブール発

2022年03月10日

ロシアのウクライナへの軍事侵攻により、両国間の物の流れが停滞したことで、トルコの貿易および物流セクターに混乱が見られている。トルコのウクライナ、ロシアとの貿易は海運やトラック輸送が主流で、多くの輸送トラック(RORO船移動を含む)が、トルコとウクライナ、またウクライナ経由でロシアをつないでいた。しかし、ロシア軍によるウクライナ侵攻により、トルコ企業のトラック約500台とその運転手が、ウクライナで立ち往生する事態が発生した(「イェニ・シャファク」紙2月26日)。

また、ロシアからウクライナ経由でトルコに戻る予定だったトラックが、通常は利用しない、通関のキャパシティが小さいジョージア経由での帰国を選択したことから、ロシア・ジョージア国境で約20キロ、ジョージア・トルコ国境で約7キロとなる渋滞が発生した。トルコのロシア向け輸出の約53%をトラック輸送が占めていたことから、代替の空輸も含めて輸送コストが急上昇している(「デュンヤ」紙3月3日)。

他方、ロシアからの輸入は、その約94%を海運に依存している。このため、ロシアがアゾフ海での海運を停止したことで、トルコ向けヒマワリ油を積んだ貨物船15~16隻がロストフ・ナ・ドヌー港から出港できず、スーパーマーケットなどではヒマワリ油の買い占めなどの混乱をもたらした。トルコの国産で足りない分のヒマワリ油の輸入においては、ロシアとウクライナからの輸入が全体の92.8%を占めているためだ(「デュンヤ」紙3月3日)。

この件については、トルコ植物油産業協会(BYSD)が3月2日、トルコ貿易省に緊急対策を求めたほか、レジェップ・タイップ・エルドアン大統領による出港要請を、ロシアのウラジーミル・プーチン大統領が承認したことで沈静化に向っていると報じられている(「イェニ・シャファク」紙3月7日)。

(エライ・バシュ)

(トルコ)

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