2021年対内直接投資は前年比8.7%増の316億2,120万ドル

(メキシコ)

メキシコ発

2022年03月02日

メキシコ経済省外国投資局は2月21日、対内直接投資統計を発表した。それによると、2021年の対内直接投資額(国際収支ベース、フロー)は316億2,120万ドルで、前年比8.7%増となった。経済省のルス・マリア・デ・ラ・モラ次官は、「ヘラルド」紙の取材に対し「対内直接投資は、すべての産業セクターに再活性化をもたらすため、非常に重要」とし、投資額の伸長は「メキシコが信頼できる投資環境を生み出していることを表す」と述べている(現地紙「エル・ヘラルド・デ・メヒコ」2月23日)。

2021年の対内投資額の内訳をみると、新規投資が全体の43.7%を占め、次いで利益再投資が38.6%、親子間勘定が17.7%となり、新規投資が最も大きかった。

主要国・地域別内訳をみると、首位の米国は前年比32.2%増の150億940万ドルで構成比は47.5%(添付資料表1参照)。米国からの投資は製造業が43.8%を占めているが、そのうち輸送機器製造が約5割を占める。2021年の米国の輸送機器製造における投資額は32億7,480万ドルで、そのうち完成車製造は5億5,870万ドル、自動車部品製造は23億2,520万ドルだった。次に構成比が大きいのは石油・天然ガスなどのパイプライン輸送を中心とした運輸・通信・倉庫業で15.0%、その後は商業の10.0%、鉱業の9.6%が続いた。米国に続いて2位のスペインの投資額は43億3,470万ドル(構成比13.7%)で、前年より8.4%増加した。伝統的に投資が多く行われてきた金融・保険業が全体の約8割を占め、その他、通信・マスメディアの構成比は8.2%、発電・送電事業は7.6%だった。3位のカナダの投資額は51.0%減の20億7,090万ドル(構成比6.5%)だった。投資額の43.9%を鉱業が占め、続いて運輸・通信・倉庫業が14.6%、製造業が12.3%だった。

日本からの投資は15億8,300万ドルで前年比29.9%増加したが、主要国・地域別では前年の4位から6位へと順位を下げた。日本企業の対メキシコ直接投資は在米企業を介して行われることも多く、その場合、メキシコの対内直接投資では統計上、米国の投資として計上されるため、実際には統計より多くの日本企業が投資を行っているものとみられる。日本からの投資額の71.8%である11億3,610万ドルを製造業が占め、そのうち、輸送機器分野の投資額は7億2,170万ドルだった。構成比は完成車製造が52.0%、自動車部品製造が48.0%で、自動車部品製造は前年の14.5%から33.5ポイント拡大している。その他、商業が10.0%、金融・保険業が9.3%の構成比を占めた。

主要産業別にみると、製造業の投資額が最も大きく125億5,850万ドルで前年比6.3%増、構成比は39.7%だった(添付資料表2参照)。このうち、構成比の最も大きい輸送機器は、完成車が64.7%減と後退した一方で、自動車部品製造は2.9倍と大幅に増加した。2020年11月から米国フォードがメキシコ州での電気自動車(EV)の本格生産を開始しているほか、2021年5月には米国ゼネラルモーターズ(GM)がメキシコ北東部コアウィラ州でのEV生産に向けた追加投資を発表するなど、EV用駆動部品などの需要の高まりが投資増に影響しているとみられる。日本のエフテックも、EV用部品の新規受注に対応するために2022年度中のメキシコへの追加投資を発表している(2021年12月24日プレスリリースPDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)、「日刊工業新聞」2022年2月22日)。

(松本杏奈)

(メキシコ)

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