国務院が「動態(ダイナミック)ゼロコロナ」政策継続の理由説明

(中国)

北京発

2022年03月25日

中国国務院の新型コロナウイルス防疫メカニズムは3月22日の記者会見で、国家衛生健康委員会新型コロナウイルス対応処置業務領導小組専門家チームの梁万年チーム長が「動態(ダイナミック)ゼロコロナ」政策(注)を継続する理由を説明した。直近の吉林省の感染拡大(2022年3月15日記事2022年3月22日記事参照)で、感染者の95%以上が軽症もしくは無症状であるにもかかわらず「動態ゼロコロナ」政策をなぜ続けるのかという記者の質問に答えた。

梁チーム長は「動態ゼロコロナ」政策を継続する理由として、(1)国外からの輸入症例増加の圧力が大きく、加えて、国内では感染が多地域の幅広い範囲で頻発している、(2)オミクロン株は重症率や致死率は低いが、感染力は強く、感染者数が増大すれば重症者、死者の絶対数が大きくなり得る、(3)中国は動態ゼロコロナを行う基盤と条件、能力を有しており、国内の実情に合っていることを挙げた。

また、梁チーム長は中国の一般市民が「動態ゼロコロナ」政策に理解を示して積極的に協力していることを挙げ、現在の輸入症例増加の圧力と国内の感染拡大圧力という、複雑で、再発を繰り返す、厳しい情勢に直面した状況では、「動態ゼロコロナ」政策の方針を堅持し、揺らいではならないとした。なお、習近平国家主席(共産党総書記)は3月17日の党中央政治局常務委員会で「動態ゼロコロナ」政策を「堅持する」と強調している。

その他、香港の全市民へのPCR検査が見送られたこと(2022年3月23日記事参照)についても回答した。梁チーム長は、香港の感染者数が高止まりする中、検査後の感染者や濃厚接触者の追跡システム、隔離観察場所、対応する人的資源などを総合的に判断したものとした。全市民へのPCR検査を見合わせたことは、エビデンスにのっとり、優先度に基づいたものとの認識を示した。

(注)中国政府は現在展開している「動態(ダイナミック)ゼロコロナ」政策について、国内の「感染者の発生をゼロにする」ものではなく、感染者の能動的かつ迅速な発見を行い、感染者に対して速やかに疫学的調査、診断、隔離、治療を行い、コミュニティー(社区)で持続的に感染が広がることを防ぐという防疫戦略だとしている

(河野円洋)

(中国)

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