2025年に電動車200万台普及、まずは官民連携で電動バイクから

(インドネシア)

ジャカルタ発

2022年03月04日

インドネシアのジョコ・ウィドド大統領は2月22日、首都ジャカルタで国営・民間企業の連携による「電動車エコシステム共同開発」の立ち上げイベントに出席した。大統領は「2025年には国内で200万台の電動車の普及を目指し、その後は輸出を目標とする」と述べた(大統領府ウェブサイト2月22日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

連携の皮切りとして、国営石油会社プルタミナや、電動バイクの製造などを行うエレクトラム(Electrum、注)やグシッツ(Gesits)、台湾のシェアスクーター企業ゴゴロの4社による実証事業を紹介した。事業内容は、グシッツが電動バイクを配車・輸送サービス大手ゴジェックのドライバーに提供、プルタミナが運営する南ジャカルタ市内のガソリンスタンドにゴゴロの支援の下、電動バイク用のバッテリー交換所を設置するものだ。規模としては、2022年内に数千台規模になる見込みだ。実証結果は、エレクトラムのバッテリー交換インフラ整備や電気自動車用のファイナンススキームの構築など、同社の事業計画の基礎として活用される予定だ(プルタミナのプレスリリース2月22日外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。ゴジェックCEO(最高経営責任者)のケビン・アルウィ氏は「自動車よりもバイクの利用が多いインドネシアで、電動バイクに注力するのは正しい方向性だ」とコメントした。同国では2019年に工業省が「自動車産業ロードマップPDFファイル(1.8MB)」を発表。2035年にはバイクの国内販売台数(目標値は1,500万台)のうち30%を電動バイクとする目標を掲げている。インドネシア二輪車製造業者協会(AISI)によると、2021年のバイクの国内販売台数は505万7,516台となっている。

写真 ガソリンスタンドに設置された電動バイク用バッテリー交換所(ジェトロ撮影)

ガソリンスタンドに設置された電動バイク用バッテリー交換所(ジェトロ撮影)

民間企業の動きが活発化

日本のサントモ・リソースはインドネシア子会社を通じて、同国で電動バイク用電池や充電施設を提供するスワップ・エネルギー社と覚書を締結し、電動バイク向け売電事業を開始した。南スラウェシ州マカッサル市を起点に東部インドネシア地域で電動バイクの販売・メンテナンスを開始するとともに、交換用バッテリーとバッテリー交換ステーションの設備投資を行う(サントモ・リソース プレスリリース2月21日PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます))。また、2月17日付の地元報道によると、EC大手のラザダ・インドネシアは電動バイクの製造・販売を行うスムート(Smoot)と提携した。ジャカルタ市内のEC配送の一部で同社のバイクが使用される(「テンポ」紙2月17日)。

(注)オンライン配車・配送サービス大手ゴジェックと炭鉱国営企業のTBS・エネルギー・ウタマ社(TBS)が2021年に設立した合弁企業。

(上野渉)

(インドネシア)

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