コロナ規制緩和で実店舗へ回帰の動きも2021年のEC市場は堅調

(アルゼンチン)

ブエノスアイレス発

2022年03月30日

アルゼンチン電子商取引会議所(CACE)は3月15日、2021年のB2C(企業対消費者取引)とC2C(消費者間取引)を合わせたアルゼンチンの電子商取引(EC)市場が、前年比68.0%増の1兆5,200億ペソ(約1兆6,720億円、1ペソ=約1.1円)に達したとの調査結果を発表した。調査は、消費者1,100人と、286のEC事業者を対象に行われた。

2021年のインフレ率は50.4%だったため、同インフレ率を差し引くと、2021年は、前年比で2倍超に成長した2020年に比べて緩やかな増加だが、アルゼンチンのEC市場は堅調な成長が続いている。

2020年は、新型コロナウイルス感染拡大による外出禁止措置で行動が大きく制限された結果、EC市場が急成長を遂げた。他方、2021年は行動制限が緩和されたため、CACEによると、一部のEC利用者が実店舗での買い物に回帰する動きも目立った。

調査の中で、EC利用者にオンラインでの買い物の頻度を聞いたところ、週に1回から数回が全体の20%(2020年:19%)、月に1回から2回が38%(46%)、2~3カ月に1回またはそれ以下が42%(36%)で、CACEによると、オンラインでの買い物が「時々」にとどまるEC利用者が前年比で増加した。なお、ECを通じて買い物をする際の不満点としては引き続き、「実物に触れることができない」「送料」「配送の遅延」が挙げられている。

売り手側の回答をみると、2020年と同様に、売り手の半数がマーケットプレイスを利用している。CACEの調査に答えた企業の10社中6社が、売上高全体の10%以上が「オンライン販売によるもの」だと回答している。2021年中に売上高が大きかった商品・サービスは、(1)オーディオ・映像・電話・IT機器(売上高全体の16%、前年比61%増)、(2)食品・飲料・日用品(15%、51%増)、(3)家具・インテリアなどの家庭用品(13%、66%増)、(4)チケット・観光(12%、3.9倍)、(5)家電類(7%、66%増)の順だ。回答企業は、2021年のEC市場は2020年よりもはるかに「良かった」と評価し、2022年はさらに「好調」となる見通しだとしている。また、今後最も売れると予測する商品に、スポーツウエア、白物家電とその他電気製品、化粧品・香水などを挙げた。

CACEは、「回答企業の約35%が、2021年中にEC用の倉庫を開設した」ことで配送時間が改善しつつあり、「現在では、99%の消費者がECでのショッピングに満足している」と述べ、今後の成長に期待感を示した。

(山木シルビア)

(アルゼンチン)

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