最低賃金引き上げを閣議決定、2022年10月から時給12ユーロに

(ドイツ)

ベルリン発

2022年03月04日

ドイツ連邦政府は2月23日、最低賃金を引き上げる法案外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを閣議決定した。最低賃金は、現在の時給9.82ユーロから、2022年10月1日に12ユーロへ大幅に引き上げられる(添付資料図参照)。今後、連邦議会(下院)と連邦参議院(上院)での法案審議を経ることになる。

最低賃金の時給12ユーロへの引き上げは、最大与党の社会民主党(SPD)が2021年の連邦議会選挙で重要施策の1つとして位置づけ、現在の連立与党の協定書にも盛り込まれている。本来は、最低賃金委員会(注1)による勧告を基に、政府が引き上げ幅や時期を決定する(2020年7月7日記事参照)。今回、連邦政府は1回限りの特例として上述の法案による最低賃金の引き上げを図る。まず7月1日に、2020年の最低賃金委員会の勧告に従って10.45ユーロに引き上げ、法律により10月に12ユーロとなる予定だ。その後は、最低賃金委員会の勧告に基づいて政府が決定する従来の方式に戻す。最低賃金委員会は2023年6月30日に勧告し、この勧告に基づく最低賃金の適用開始は2024年1月1日となる予定だ。

フーベルトゥス・ハイル労働・社会相(SPD)は「最低賃金の引き上げにより、特に女性や賃金水準が低い東部ドイツの被雇用者など、600万人以上が恩恵を受ける」と述べた。

EU19カ国で最低賃金が上昇

連邦統計局の2月23日の発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、EU27カ国で法定最低賃金を設定している21カ国(注2)のうち19カ国で、最低賃金額は2022年上半期に前年同期を上回った。ドイツは前年同期比で3%増となったほか、東欧諸国の上昇率が高く、ハンガリーは22%増、リトアニアで14%増、チェコで13%増だった。法定最低賃金額を基に算出した最低月収(注3)は、EU域内で最高値のルクセンブルクで2, 257ユーロ、ドイツの1,621ユーロに対し、多くの中・東欧諸国は750ユーロ未満。法定最低賃金額は低水準にとどまる一方で、上昇傾向は高まっている。また、EU全体では、域内各国の法定最低賃金格差は7倍だが、各国の購買力を勘案すると3倍に縮小する。

(注1)最低賃金委員会は、議長1人と労使双方を代表する委員、顧問の役割を担う学界からの委員(投票権なし)で構成し、政府に対して、全国統一の最低賃金の引き上げ幅と時期を2年に1度勧告する。政府はこれを基に、勧告された時期に勧告された金額を引き上げる。

(注2)EU加盟国の中で法定最低賃金を設定していないのは、デンマーク、フィンランド、イタリア、オーストリア、スウェーデン、キプロスの6カ国。

(注3)最低賃金と週当たりの労働時間、月平均週数から算出。所得税や社会保障費などが控除される前の総額。

(中村容子)

(ドイツ)

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