ウクライナとモルドバ、欧州の電力網に接続

(ウクライナ、モルドバ、ロシア、ベラルーシ)

ワルシャワ発

2022年03月25日

欧州送電系統運用者ネットワーク(ENTSO-E)は3月16日、ウクライナとモルドバからの緊急要請を受け、欧州と両国の送電網の接続を開始したと発表した(ENSTO-Eプレスリリース)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます。この接続は2014~2015年にウクライナ東部ドンバスで勃発した紛争を受けて2017年から計画されており、当初の予定では2023年中に実行するはずだった。しかし、ロシアによるウクライナへの軍事侵攻が続いていることを踏まえ、予定より1年早く完了させた。

これまでロシアとベラルーシの電力に依存していたウクライナとモルドバは、ENTSO-Eとの接続に向けて国内で電力網を試験的に独立させることを以前から予定していた。しかし、ロシアとの軍事的緊張が高まっていたため、ウクライナは2月24日にロシアの侵攻が始まる直前にロシアとベラルーシの統合電力システムから離脱。27日にウクライナ国営電力会社ウクルエネルゴはロシアとベラルーシの送電網とは再接続しないことを表明し、ENTSO-Eへの緊急接続を要請した。これを受け、モルドバの電力会社も28日、ENTSO-Eへの緊急接続を要請していた(2022年3月7日記事参照)。

ウクライナのゲルマン・ガルシェンコ・エネルギー相は「ENTSO-Eとの接続により、ウクライナと欧州は共同で単一のエネルギー空間を形成した。欧州統合への残された最後のステップは政治的統合だけだ」と述べた。また、現在の送電容量について、ウクライナとロシアの電力網が接続していた頃と比べて容量が3ギガワット(GW)から4~5GWへ増加しており、送電容量の効率的な使用により発電コストを低減するとともに、電力供給の安全性を高めることができると強調している。

(マルタ・ゴロンカ、今西遼香)

(ウクライナ、モルドバ、ロシア、ベラルーシ)

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