モルドバ、ウクライナの避難民9万人受け入れ、送電網への緊急接続も実施

(モルドバ、ウクライナ)

ブカレスト発

2022年03月07日

モルドバでは、ウクライナからの避難民の受け入れが進んでいる。避難民対応を行うモルドバ危機管理センターのドミトル・ウドレア所長は3月1日、ロシアがウクライナに侵攻した2月24日から3月1日までに8万8,750人の避難民がモルドバに入国したと述べた。このうち約4万6,000人が出国し、約4万1,000人がモルドバ国内にとどまっている。多くは身寄り先へ向かったが、67カ所ある仮設難民センターでは2,439人を収容している。空きは1,946人分あり、今後さらに増設するとしている。また、アレクサンドル・オプレア・チーフ緊急事態監察官はオーストリア、フランス、オランダからの支援申し出を受け、衛生用品や毛布、ベッド、テントが到着する予定だと述べた。市民保護局はリトアニア政府からも75万ユーロ相当の支援が寄せられる予定だとした。

電力網の問題では、これまでウクライナは送電網をロシアのネットワークに頼っていたが、ウクライナの電力会社ウクルエネルゴは欧州送電系統運用者ネットワーク(ENSTO-E)に対して2月27日、ウクライナ電力網のENSTO-Eへの緊急接続を要請した(ENSTO-Eプレスリリース)。これを受け、EUは3月1日、欧州の電力系統をウクライナの電力網に緊急接続すると発表した(ロイター通信3月2日)。従来はウクライナの接続を2023年中に実現する予定だったが、計画を早めたかたちだ。ウクライナの電力は55%が国内4カ所の原発で賄い、石炭火力発電が残りの大部分を占めている。ウクルエネルゴは電力網のロシアからの切り離しに成功し、ロシア軍からの攻撃を受ける中でも国内で独立して電力需給を満たしており、ENSTO-Eへの接続に自信を示した。欧州委員会エネルギー担当のカドリ・シムソン委員は「この計画はウクライナのエネルギーの独立性を高めるものだ」と述べた(ロイター通信3月2日)。

これを受け、モルドバの電力会社モルデレクティカも2月28日、ENSTO-Eに緊急接続を要請した。モルドバのアンドレイ・スピヌ・インフラ地域開発相は、2月24日から26日までモルドバも国内で電力網を試験的に独立させ、事故なく成功したと述べた。

(西澤成世)

(モルドバ、ウクライナ)

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