大連経済技術開発区の評価、東北3省でトップに

(中国)

大連発

2022年03月02日

中国・大連経済技術開発区(以下、大連開発区)の2021年の主要経済指標は全体的に好調だった。域内総生産(GRP)が前年比10.5%増の1,400億2,000万元(約2兆5,203億6,000万円、1元=約18円)となったほか、工業総生産額は27.7%増の3,057億8,000万元、対内直接投資額は7.15倍の10億8,000万ドルになった。また、大連開発区では2021年に、1億元以上の投資プロジェクトが77件調印された。

中国商務部が2022年1月に公表した「2020年度国家級経技術済開発区総合発展レベル評価PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)ランキング」(注1)をみると、大連開発区は、2019年度から2つ順位を上げ、全国で18位となり、東北3省の開発区で最も高く評価された。

大連市政府は、大連開発区が順位を上げた要因を3つ挙げた。1つ目は、産業基盤の強化だ。同区は、重点産業(石油化学、設備製造、電子情報、自動車・同部品、バイオ医薬)に焦点を当て、産業構造を最適化。2021年の自動車部品産業の規模は全国の開発区で2位になった。

2つ目は、イノベーション促進と技術開発の質的向上だ。近年、大連開発区は技術系企業の育成プログラムを実施し、2021年はハイテク企業が177社、ガゼル企業(注2)が12社新設された。技術開発への支出も前年比15.9%増となった。そのほか、中国科学院大連化学物理研究所のグリーン水素製造や水素燃料電池など、多くのプロジェクトが進行し、科学技術成果の産業化が加速している。

3つ目は、環境改善への取り組みだ。大連開発区はグリーン発展に重点を置き、水素エネルギーによるバス路線が開通したほか、水素エネルギー製品の研究開発センターも開設された。今後、大連開発区は、イノベーションにさらに注力し、伝統産業の転換、新興産業の育成を含む全面的な改革を強化するとしている。

(注1)同評価は、商務部が2021年に実施したもので、全国217の国家級経済技術開発区が対象。大連開発区の評価ランキングは2018年度が29位、2019年度が20位。

(注2)シンクタンク「胡潤研究院」の定義によると、2000年以降に創業し、今後3年以内にユニコーン企業になる高い可能性を有する非上場企業。

(山口はるか)

(中国)

ビジネス短信 1c054a6248c887e5