ゼレンスキー・ウクライナ大統領がフランス議会で演説、ルノーはロシア工場を停止

(フランス、ロシア、ウクライナ)

パリ発

2022年03月25日

ウクライナのボロディミル・ゼレンスキー大統領は3月23日、フランス議会でオンライン形式の演説外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますを行い、ロシアによるウクライナ侵攻をフランスの基本理念である「自由・平等・博愛に対する戦争だ」と捉え、「ルノー(自動車)、オーシャン(食品スーパー)、ルロワ・メルラン(DIY用品スーパー)はロシアの戦争マシーンのスポンサーとなって子供や女性の殺害、性的暴行に資金を供給する行為をやめるべきだ。利益より価値が大切であることを思い致すべきだ」と主張し、フランス企業にロシアからの撤退を求めた。

ウクライナ情勢が激化するなか、フランス国内でもロシア事業を継続する企業への風当たりが強まっている。これに対応するかたちで、自動車ルノーは3月23日の取締役会で、同社モスクワ工場の稼働を即時停止するとともに、ロシア自動車アフトワズへの出資について今後、可能な選択肢を検討すると発表した(プレスリリース)。外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますこれに伴い、2022年の営業利益率の見通しを4%以上から3%に下方修正した。

エネルギー大手トタルエナジーズは3月22日、「戦争犯罪の共犯者という根拠のない深刻な告発」に対し、既に対ロシア制裁に基づいて必要な措置を実施していると強調しつつ、追加措置としてロシア産の原油・石油関連製品の購入を遅くとも2022年末までに停止することを決定(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。これにより同社は今後、新たな購入契約や契約更新を中止する。天然ガスについては、欧州のエネルギー安全保障の面からロシア産ガスの調達停止は今後2~3年は難しいとして、「ヤマルLNG」プラントからの液化天然ガス(LNG)の購入を継続する方針を示した。

同社は3月1日にロシアでの新規プロジェクトに投資しないと発表していた(2022年3月10日記事参照)が、保有資産についてはEUの対ロ制裁やロシアの外資規制の下で外国籍の投資家への売却は難しく、売却しないまま放棄すれば、ロシアの投資家を利することになり、対ロ制裁の目的に矛盾するとして、売却は控える方針を示した。同社はロシアの独立系天然ガス開発大手ノワテク(出資率19.4%)、「ヤマルLNG」プロジェクト(20%)、北極圏LNG開発プロジェクト「アーク2」(10%)などにマイノリティー出資している。

(山崎あき)

(フランス、ロシア、ウクライナ)

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