デリー準州、各種の新型コロナ関連規制を全面解除

(インド)

ニューデリー発

2022年03月02日

インドのデリー準州政府は2月28日、新型コロナウイルス感染対策として課していた夜間外出禁止や各種施設の定員制限などの活動制限措置を全面的に解除した。デリー準州では2021年12月28日以降、オミクロン型変異株を中心とした新型コロナ感染の第3波に対する措置を講じてきたが(2022年1月14日記事参照)、状況の改善を受けて1月下旬から段階的に緩和していた(2022年2月1日記事参照)。

デリー準州の新型コロナ感染者数は、ピークを迎えた1月中旬に1日当たり2万人を超える水準で推移していたものの、2月下旬には同500人前後にまで減少した。また、州内の検査に占める陽性率は1%程度、新型コロナ感染症指定病院の病床利用率は2%以下にとどまっている。州政府は2月26日付の通達で、引き続きマスクの着用やソーシャルディスタンスの確保、手の消毒、換気の実施など基本的な対策の継続を呼び掛ける一方で、自家用車内でのマスク着用の義務化を解除するなど、全面的な規制緩和にかじを切った。デリー準州に隣接し、都市グルグラムを中心に多くの日系企業が集積するハリヤナ州も2月16日付の通達で、第3波対策として講じてきた各種規制の解除を発表している。

インド政府は一時的に国外からの入国者に課していた隔離措置を2月14日に撤廃している(2022年2月15日記事参照)。渡航者はインド行きフライト出発前に、出発時刻から72時間以内に実施したPCR検査の陰性証明書をデリー空港ウェブサイトにオンライン上で申告することが原則外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますとして求められるが、特定の指定国・地域(注)から入国の場合、PCR検査の陰性証明書の代わりにワクチン接種完了証明書も認められることになった。日本はこの指定国に含まれていないものの、インドで発行されたワクチン接種完了証明書を保有する渡航者であれば、日本からのインド入国に際しても、同証明書でPCR検査の陰性証明書を代替できる運用に変更されている(2022年2月24日付在インド日本大使館情報外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

インド全体の1日当たりの新型コロナウイルス新規感染者数は1月下旬以降減少傾向にあり、2月末には2カ月ぶりに1万人未満となった。新規感染者数の約4分の1が南部ケララ州に集中しているほかは、特定の州に集中している状況はみられない。政府は1月からワクチン接種対象年齢を従来の18歳以上から15歳以上に引き下げたほか、医療従事者やエッセンシャルワーカー、持病のある60歳以上を対象としたブースター接種を始めるなど、全国的なワクチン普及に努めている(2022年1月11日記事参照)。2月末時点で、少なくとも1回を済ませた接種率は67.9%、同接種回数は累計17億7,500万回に達している。

(注)2月28日時点の指定国は、保健・家庭福祉省のウェブサイト上PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)で確認可能。

(広木拓)

(インド)

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