中立国スイス、EUの対ロシア制裁パッケージを異例の導入

(スイス、ロシア、ウクライナ、EU)

ジュネーブ発

2022年03月02日

スイス連邦参事会(内閣)は2月28日、EUが2月23日と25日に採択したロシアに対する制裁パッケージ(2022年2月24日記事2022年2月28日記事参照)をスイスでも同様に適用すると決定した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。

これにより、ウクライナ東部のドネツク、ルガンスク両地域の「独立」承認に賛成したロシアの下院議員や政府、軍、経済界の関係者、ウラジーミル・プーチン大統領、ミハイル・ミシュスチン首相、セルゲイ・ラブロフ外相のEU域内の資産凍結をはじめとする、EUの対ロシア制裁措置をスイス国内でも同様に実施することとなる。

加えて、2009年にロシアと締結されたビザ発給の円滑化を目的とした協定を一時停止し、併せて、プーチン大統領に近いスイス関係者数人のスイスへの入国を禁じた。さらに、2月28日午後3時以降、人道と医療、外交的目的のフライトを除く、ロシアからの全フライトのスイス領空の飛行とロシア系航空機の発着を禁止した。

連邦経済・教育・研究省はこれに先立つ25日、スイスがEUの制裁の迂回(うかい)路として利用されることを防ぐため、スイスの金融仲介業者との新たな商取引を禁止する政令を改正し、同措置の対象に個人363人・4法人を追加した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。また、金融仲介業者に対し、これらの個人・法人との既存の取引を連邦経済省経済事務局(SECO)に報告する義務も課した。

さらに、ウクライナに対する支援の第1弾として、数日以内に約25トンの救援物資、金額にして約40万スイス・フラン(約5,000万円、CHF、1CHF=約125円)相当をポーランドのワルシャワに届けると表明した。スイスは総額800万CHF相当の救援物資を提供する予定だ。

永世中立国かつEU非加盟国であるスイスは、中立的立場を重要視しており、2014年のクリミア危機の際にも対ロシア制裁措置を実施せず、スイスが制裁の迂回路として利用されることを避けるための限定的な措置を実施するにとどまった。しかし、今回、スイスは初めてEUの制裁パッケージの全面導入を決定した。連邦参事会は、ロシアによる欧州の主権国家に対する前例なき軍事行動が制裁に対するこれまでのスイスの姿勢を変更させる決定打になったとし、平和と安全を守り、国際法を尊重することは、スイスが欧州の近隣諸国と共有し、擁護する民主的な価値観だと強調した。

同時に、連邦参事会はスイスの中立性と平和政策を引き続き考慮し、必要に応じて最大限、仲介役として機能する意思があるとした。

(城倉ふみ、マリオ・マルケジニ)

(スイス、ロシア、ウクライナ、EU)

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