EU、ロシアのウクライナ東部2地域の独立承認と軍派遣に対する制裁措置を採択

(EU、ウクライナ、ロシア)

ブリュッセル発

2022年02月24日

EU理事会(閣僚理事会)は2月23日、ロシアによる、ウクライナ東部でロシアへの編入を求める分離独立派が実効支配するドネツクおよびルガンスク両地域の独立国家としての一方的な承認と、同地域へのロシア軍の派遣を受けた制裁パッケージを正式採択した(プレスリリース外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)。制裁の大枠は、22日に緊急開催された非公式のEU外相会合において政治合意されていた。

制裁では、両地域の独立承認に賛成したロシア下院の議員351人よび政府、軍、経済界の関係者ならびに金融機関を含む27人・団体に対し、EU域内に保有する資産を凍結するとともに、EU企業や市民が対象者・団体に資金などを提供することも禁止する。今回の制裁対象者に、これまでのウクライナ領土に対する侵害行為に関与しEUの制裁対象となった個人・団体を加えると、計555人および52団体に上ることになる。ただし、プーチン大統領自身は制裁対象リストに含まれていない。

また、ロシアが独立を承認した両地域とEU間の経済活動については、EUへの輸入禁止や特定分野の投資規制、EUからの特定品目および技術の輸出禁止、旅行サービスの提供禁止などが決定された。さらに、ロシア連邦国家、政府および中央銀行によるEUの資本・金融市場に対するアクセスも制限する。なお、欧州議会などが求めていた海外送金〔国際銀行間通信協会(SWIFT)〕システムからのロシアの排除(2022年2月17日記事参照)は、今回のパッケージには含まれなかった。

ジョセップ・ボレル・フォンテーリャス外務・安全保障政策上級代表(欧州委員会副委員長兼任)は2月22日の非公式EU外相会合後の会見で、より厳しい制裁を求める声もあったのではとの質問に対し、制裁内容は米国、英国やカナダと歩調を合わせたもので、今回の制裁はEUとしての対応の一部にすぎないと返答。引き続き外交努力を続けるとともに、緊張感を持ってさらなる事態の展開に備えるとした。

また、欧州委員会のウルズラ・フォン・デア・ライエン委員長は2月22日の声明で、同日にロシアからドイツへ天然ガスを輸送するパイプライン「ノード・ストリーム2」プロジェクトの承認手続きを凍結したドイツ政府の判断への支持を表明。今般の危機で欧州がロシアからのガス供給に依存し過ぎていることが示されたとし、EUが安定的なエネルギー供給を確保するため、ガス供給元の多角化とともに、再生可能エネルギー自給の向上のための戦略的な投資の必要性を説いた。

欧州理事会(EU首脳会議)のシャルル・ミシェル常任議長は「21世紀において武力行使と威圧による国境変更の余地はない」とし、今後のロシアへの対応およびウクライナへの支援の在り方について、2月24日にブリュッセルにおいて特別欧州理事会を招集することを明らかにした。

(安田啓)

(EU、ウクライナ、ロシア)

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