中国、PCR検査の補完手段として抗原検査を認定、自己検査キット5種の市販を承認

(中国)

北京発

2022年03月14日

中国・国務院新型コロナ防疫メカニズムは3月11日、「新型コロナウイルス抗原検査応用方案(試行版)外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」を発表し、新型コロナ検査方法をより最適化し、新型コロナ予防抑制のニーズに応えるため、PCR検査の補完として抗原検査を加えることを決定したと説明した。方案の解説によると、抗原検査は特定の集団をスクリーニングし、感染者を早期発見する能力を高めるのに寄与するとされている。

方案によると、抗原検査の適用対象は以下のとおりとなっている。

(1)呼吸器症状や発熱などの症状を発症し、末端の医療・衛生機関を受診して5日以内の人。

(2)自宅隔離観察を含む隔離観察対象者、濃厚接触者とその濃厚接触者、入境隔離観察対象者、封鎖管理区、管理区内の人。

(3)自主抗原検査を希望する社区住民。

このうち、(1)については、受診した医療・衛生機関がPCR検査能力を備えていない場合に抗原検査を行う。また、(2)の場合は、社区・村・鎮・隔離地点などの管理の下で、隔離観察期間中は現行の方案に基づいてPCR検査を行うとともに、最初の5日間は毎日1回、自主抗原検査を行う。(3)については、住民が薬局やインターネットサイトなどで自ら検査キットを購入して自主抗原検査を行う。

他方、新型コロナ感染の確定診断の根拠は引き続きPCR検査として、抗原検査が陰性であってもPCR検査が陽性であれば、感染者および確定感染者として扱い、PCR検査が陰性で抗原検査が陽性であれば、感染者とみなして集中隔離などの措置を取るとした。

また、国家医薬品監督管理局は3月11日と12日、北京華科泰生物技術、南京諾唯赞医療科技、北京金沃夫生物工程科技、深セン華大因源医薬科技、広州万孚生物技術の新型コロナ抗原検査キットの市販を承認したと発表した。

米国ペンシルベニア大学の張洪涛副教授は、ビルや小区(住宅)を封鎖する必要があるか判断するために全員PCR検査を実施して結果が出るまで約2日を要するが、抗原検査でスクリーニングを行うのであれば30分で結果が得られるなど、抗原検査によって精密な新型コロナ予防抑制の効率をより高めることができる、と評価した。また、ウイルス学専門家の常栄山氏は、オミクロン株による感染が大幅に増え(注)、PCR検査と集中隔離に非常に多くのリソースが費やされている状況において、抗原検査の導入によって自宅での検査や隔離を可能にすることで無症状感染者を抑制できるとした(「財経」3月12日)。

(注)国家衛生健康委員会の発表によると、2022年3月13日の中国の新規感染者数(無症状感染者を除く)は1,437人となっており、新型コロナ感染拡大期の2020年1~2月以降では最多の水準になっている。

(小宮昇平)

(中国)

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