フィリピン貿易産業相、米国とのFTA締結に向けた協議開始の意向

(フィリピン、米国)

マニラ発

2022年03月04日

フィリピンのラモン・ロペス貿易産業相は2月24日、同国に対する米国の一般特恵関税(GSP、注)に関して、同制度の再開を希望していることを明らかにした(「ビジネス・ワールド」紙2月27日)。米国のフィリピンに対するGSPは、2020年12月31日に失効している。

貿易産業省(DTI)の推計によると、フィリピンから米国へ輸出するGSP税率対象品目について、輸出金額ベースで算出すると、2020年の利用率は74%だった。ロペス貿易産業相はGSPについて、特に中小企業にとって恩恵の大きい制度だったと評価している(「ビジネス・ミラー」紙2月28日)。

また、同相はGSP更新の次の段階として、フィリピンと米国との自由貿易協定(FTA)締結を視野に入れており、米国との協議開始を希望していることも明らかにした。FTA締結によってツナ缶や海藻、ココナッツなどフィリピン産品の販路拡大につながるとの見解を示した(「CNNフィリピン」2月25日)。

フィリピン商工会議所(PCCI)は現地紙の取材に対して、米国とのFTA締結に向けた協議開始を行うとする政府の計画をサポートしていく意向を示した(「ビジネス・ワールド」紙2月27日)。

(注)開発途上国・地域を原産地とする鉱工業産品や農水産品の輸入について、一般の関税率よりも低い税率を適用することにより、開発途上国・地域の輸出所得の増大、工業化の促進と経済発展を支援するという、先進国による国際的途上国支援制度。

(吉田暁彦、サントス・ガブリエル)

(フィリピン、米国)

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