マレーシアでRCEPが3月18日に発効、政府はASEANで最大の便益に期待

(マレーシア)

クアラルンプール発

2022年03月18日

地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が3月18日、マレーシアで発効した。同日発表した声明PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)について、マレーシアのアズミン・アリ国際貿易産業(MITI)相は自身のツィッターアカウントで、RCEPによるマレーシアへのメリットとして、23億人規模の市場へのアクセス確保、約90%の品目の関税撤廃とこれによる輸出競争力向上、貿易円滑化や投資、知的財産権や電子商取引といった分野におけるルールの標準化などを挙げた。

マレーシアは1月に、12カ国目の署名国として同協定の寄託書を事務局に提出していた(2022年1月21日記事参照)。発効に先立ち、マレーシア製造業連盟(FMM)は、2022年の早い段階で同協定が発効することは、企業が「新型コロナ禍」からの回復を図る中で貿易を拡大するに際し非常にタイムリーだとこれを歓迎。世界のGDPの約3割と人口の3分の1を擁する単一経済圏の形成は、マレーシア企業の活動に貢献するものだと期待を示した(FMM1月24日)。

今回のMITIの声明によれば、RCEPによりアジア大洋州の域内貿易は420億ドル拡大すると予測され、ASEAN諸国の中でも、マレーシアは最大の受益者として2億ドルの輸出増を見込む(注)。MITIは、世界がパンデミックから回復する過程で、RCEPによる域内の貿易障壁削減は、経済活動を再活性化するための重要なツールだと強調した。RCEPというメガ自由貿易協定(FTA)がもたらす投資機会やグローバルバリューチェーンへの参画機会を、中小企業も含めたあらゆる在マレーシア企業が活用することを勧奨している。

RCEP発効に際して、ジェトロがMITIに非公式に確認したところ、利用企業に対し必要な情報を的確に提供することの重要性を認識しており、RCEP関連情報を一元化して発信することも検討しているとのことだ。現状では、2月中に発表されたMITIの通知PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)において、活用の基本フローや照会先が参照できる。

(注)出所は、国連貿易開発会議(UNCTAD)が2021年12月に発表した報告書外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます

(吾郷伊都子)

(マレーシア)

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