第35回アフリカ連合(AU)総会、新型コロナ対策や安全保障を議論

(アフリカ、エチオピア、イスラエル)

中東アフリカ課

2022年02月18日

アフリカ連合(AU)は2月5、6日、エチオピアの首都アディスアベバのAU本部で、第35回年次総会を開催した。2021年は新型コロナウイルス感染拡大の影響でオンライン総会だったが、今回は2年ぶりのリアル開催となった。議長は持ち回りで担当し、前年はコンゴ民主共和国のフェリックス・チセケディ大統領が務めた。

AUのムーサ・ファキ委員長は、アフリカが新型コロナウイルスの影響による経済低迷の後、外貨不足で成長ダイナミズムを取り戻せていないと指摘した。これを踏まえて、債務の削減や取り消しなどの資金動員により、パンデミックの影響を軽減させるべきだと述べた。また、近年頻発するクーデターの脅威にも言及した。活発なアフリカ諸国の連帯が求められると強調した一方、世界各国の自国第一主義によって連携と寛容の価値が揺るがされていることに危機感を募らせた。

開催国エチオピアのアビィ・アフメド首相は、2005年のエズルウィニ・コンセンサスに基づき、国連安全保障理事会でアフリカ諸国が2つの常任理事国と5つの非常任理事国枠を得られるよう主張した。同首相はまた、国際メディアはアフリカのネガティブな報道(内戦、貧困など)を通じて、世界の人々の認識を損なわせるだけでなく、アフリカ人のアイデンティティー形成にも影響を及ぼしているとし、AUメディアハウスの創設を提案した。

会合では、アルジェリアと南アフリカ共和国の提案により、イスラエルのオブザーバー資格も議題に上がった。AUは2021年7月、イスラエルにオブザーバー資格を認め(2021年7月27日記事参照)、AU内では批判的な見方もあった。2022年のAU議長国に選出されたセネガルのマッキー・サル大統領は総会終了後のインタビューで、イスラエルのオブザーバー資格に関する議論を2023年まで延期することで同意したと述べた(「アルジャジーラ」2月7日)。

(小林淳平)

(アフリカ、エチオピア、イスラエル)

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