米ニューヨーク州都市交通局、ホームドアの試験的設置計画を発表

(米国)

ニューヨーク発

2022年02月28日

米国ニューヨーク州都市交通局(MTA)のジャノ・リーバー会長兼最高経営責任者(CEO)は2月23日、ニューヨーク市内の地下鉄の3駅に試験的にホームドアを設置すると発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますした(同日付米ニュース局NY1)。設置場所は、7トレインのタイムズ・スクエア駅、Lトレインのサード・アベニュー駅、JFK空港につながっているEトレインのサットフィン・ブルバード駅で、サーマル技術で路線侵入を感知する新しい技術も同時に試験導入する。リーバー会長は「時間がかかり困難なことではあるが、これから予算を工面して、これらの新しい技術を取り入れることを目標としている」と述べた。

また、リーバー会長は今回の試験設置を決めた理由に関して「線路やトンネルに侵入する人が急激に増加しており、彼らの多くが自ら侵入している」と述べ、「精神衛生上の問題を抱えている人は、侵入の危険性を知らない場合が多いため、啓蒙活動も行う」とした。

ニューヨーク市の地下鉄構内では昨今、犯罪や人身事故が増加している。最近では2月19日に刃物で刺される事件が4件、線路を歩いていた男性が電車にひかれて死亡する事件が1件発生(オンラインメディア「ゴサミスト」2月20日)しており、2月20日には、駅のホームから人が突き落とされる事件も起きた(「ワシントン・ポスト」紙電子版2月24日)。

同市のエリック・アダムス市長は2月18日、地下鉄の公共安全対策と、地下鉄にいるホームレスや精神疾患のある人々に対する支援策をまとめた「地下鉄安全計画PDFファイル(外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)」を発表した。アダムス市長は現在の地下鉄の構内環境について「住居のない人々を地下鉄構内に住まわせるのは残酷で非人道的であり、清潔整然、安全な環境を求める地下鉄の利用者と従業員にとって不公平」とし、「今後、州政府や連邦政府、労働組合、賛同者、警察の協力を得ながら、この難題を解決していく」と述べた。

(吉田奈津絵)

(米国)

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