固定金利への借り換えで家計の利子負担軽減が可能、韓国経済研究院発表

(韓国)

ソウル発

2022年02月25日

韓国経済研究院(全国経済人連合会グループのシンクタンク)は2月15日、政策金利の引き上げ(注1)に伴う家計の利子負担の増加と、負担の軽減策についての分析結果を発表した。

2021年第3四半期の韓国の家計負債は約1,840兆ウォン(約176兆6,400億円、1ウォン=約0.096円)と、GDP比で約96%、家計の実質可処分所得比で201%に達した。同研究院は、政策金利の引き上げにより債務が増大し、返済リスクが高まるとともに、中小企業や零細企業を対象とした272兆ウォン規模の融資の満期延長・利払い猶予期限が2022年3月に迫り、金融の安定性低下への懸念が高まっていると指摘した。

政策金利が1ポイント上昇した場合、家計の年間利子負担額は合計18兆4,000億ウォン増加し、1世帯当たり87万6,000ウォンの利子負担が発生するとした(注2)。特に、自営業者の年間の利子負担額は合計8兆9,000億ウォン、1事業者当たり160万ウォン増加するとした。他方、既存の変動金利から固定金利での融資に転換した場合、家計の利子負担額は年間で合計15兆2,000億ウォン、1世帯当たりでは80万ウォン引き下げられるとした。特に自営業者の場合、固定金利への転換により年間の利子負担額は合計7兆3,000億ウォン減少し、1事業者当たりの負担額は132万ウォン軽減するとした。

同研究院のイ・スンソク副研究委員は「政府は、家計債務の規模を縮小させるための総負債元利金返済比率(DSR)の早期実施のような画一的な総量規制より、既存の変動金利型の融資を長期・固定金利融資に切り替えるなど根本的な対策を講じることが望ましい」と強調した。

(注1)韓国の政策金利は1.25%(2022年2月22日現在)。

(注2)家計利払い額の計算に当たっては、次の統計を使用している。(1)2021年3月末時点の家計債務は1,844兆9,000億ウォン、(2)2020年の総人口は5,1833万6,239人、総世帯数は2,092万6,710世帯、(3)家計債務に占める変動金利融資の割合は75.7%(韓国銀行、統計庁資料に基づく)。

(当間正明)

(韓国)

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