フランスの2021年GDP成長率は7.0%、前年から大幅回復

(フランス)

パリ発

2022年02月01日

フランス国立統計経済研究所(INSEE)の1月28日付の発表によると、2021年の実質GDP成長率外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます(速報値)は前年比7.0%となり、2020年のマイナス8.0%から急回復した(添付資料表参照)。

実質GDP成長率に対する寄与度をみると、内需(在庫変動を除く)が6.8ポイントとなり、成長回復の原動力になった。外需(純輸出)は、輸出の持ち直しを受け、0.2ポイントとプラスに転じた。在庫変動は、GDP成長率を0.1ポイント押し下げた。

四半期ベースの実質GDP成長率をみると、2021年第4四半期は前期比0.7%となり、移動制限措置の解除や集客施設の再開の影響で伸びが顕著だった前期(3.1%)に比べ鈍化した。需要項目別にみると、家計最終消費支出は0.4%増と前期の5.6%増から減速した一方、総固定資本形成は0.5%増と前期(0.1%増)を上回った。住宅投資は前期と横並びで、公共投資は0.2%減と不振に終わったが、民間設備投資が情報通信投資を中心に0.8%増と前期の0.1%増から伸びを強めた。

第4四半期の貿易は、輸出が前期比3.2%増(前期1.7%増)、輸入は前期比3.6%増(前期0.8%増)と双方向で力強い伸びを示した。輸出は、とくに輸送サービス(13.6%増)の伸びが顕著だった。輸入は、主要品目の輸送機器が8.8%増と前期の6.9%減からプラスに転じた。

2021年のGDPは、新型コロナウイルス感染拡大による危機前(2019年第4四半期)の水準を第3四半期に取り戻し、第4四半期には同水準を0.9%上回った。民間設備投資、住宅投資は第2四半期から危機前の水準を超える勢いを示す一方、民間最終消費支出は外食・宿泊、輸送サービスの回復が遅れ、第4四半期にようやく危機前の水準まで戻した。

今回の結果を受けて、ブリュノ・ル・メール経済・財務・復興相は2022年1月28日、国営テレビ「フランス2」のインタビューに応じ、通年で7.0%の経済成長率は「過去50年余りで最高記録」で、「新型コロナ危機の影響を払拭(ふっしょく)した。政府の経済政策が奏功した結果だ」などと発言した。

なお、2022年の景気動向について同相は1月4日、「オミクロン株の感染拡大に伴い1月は困難な状況が予想されるものの、感染症の収束に伴いフランス経済は力強い成長を取り戻す」とし、実質GDP成長率の政府見通しについて従来どおり4.0%を維持する方針を示した。

(山崎あき)

(フランス)

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