2021年のGDP成長率、前年比7.5%で記録的な増加

(英国)

ロンドン発

2022年02月17日

英国国家統計局(ONS)の2月11日付発表外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、英国の2021年第4四半期(10~12月)の実質GDP成長率(第1次速報値)は3四半期連続プラスで前期比1.0%となった(添付資料図、表参照)。一方、同実質GDP成長率は、新型コロナウイルス感染拡大前の2019年第4四半期(以下、新型コロナ前)からはマイナス0.4%となった。2021年通年でみると、輸出以外の項目で前年比プラス成長となり、全体では前年比7.5%と、第二次世界大戦以降最大のプラス成長となった。

2021年第4四半期のGDP成長率を需要項目別にみると、内需を牽引する個人消費(家計最終消費支出)は前期比1.2%(2021年通年では前年比6.1%)となった(添付資料表参照)。政府最終消費支出は、医療費の増加により前期比1.9%(2021年通年では前年比14.5%)だった。これは2021年12月の新型コロナ・オミクロン型変異株の感染拡大に伴う検査数と迅速抗原検査発送数の増加、ブースター接種拡大に伴うワクチン接種の増加による。総固定資本形成の同成長率は前期比2.2%(同5.3%)だったが、新型コロナ前と比較するとマイナス1.8%となった。うち、企業投資については前期比0.9%(同マイナス0.7%)、新型コロナ前との比較ではマイナス10.4%となった。

産業別にみると、サービス業の第4四半期のGDP成長率は前期比1.2%となり、新型コロナ前との比較でも0.5%となった。鉱工業は前期比マイナス0.4%で、新型コロナ前との比較ではマイナス3.6%となった。これには特にエネルギーがマイナス3.2%、鉱業・採石がマイナス4.5%となったことが影響した。ONSによると、エネルギーは悪天候による需要増に伴い2021年5月が異例の高水準となった反動が引き続き影響している。鉱業・採石業のマイナスは原油と天然ガスの採掘量が減少したことが要因。

2021年通年でみると、建設業で前年比12.7%、サービス業で同7.4%と大きなプラス成長となった。

米国調査会社パンテオン・マクロエコノミクスのエコノミスト、サミュエル・トムズ氏は、英国の2021年第4四半期の経済成長について「G7各国と比べると、引き続き迫力に欠ける」と述べた(「フィナンシャル・タイムズ」紙2月11日)。一方、2021年通年でみると、英国のGDP成長率は、2月14日時点で未発表の日本、カナダを除き、米国、ドイツ、フランス、イタリアを上回っている(「ガーディアン」紙2月11日)。

(島村英莉)

(英国)

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