カナダの1月の雇用者数は20万人減、失業率は6.5%に悪化

(カナダ)

米州課

2022年02月10日

カナダ統計局が2月4日に発表した1月の雇用統計外部サイトへ、新しいウィンドウで開きますによると、雇用者数は前月比20万100人(1.0%)減少の1,917万6,100人となり(市場予想は11万7,500人減)、減少幅は、2021年1月(20万7,800人減)以来の大きさだった(添付資料図参照)。失業者数は前月比10万5,700人(8.6%)増加し、失業率は6.5%と前月(6.0%)から0.5ポイント上昇した(市場予想は6.2%)。失業率は、2021年4月(8.0%)以来9カ月ぶりの上昇となった。統計局は、新型コロナウイルスのオミクロン変異株拡大に伴い、多くの地域でより厳しい公衆衛生措置が実施されたことが、予想以上の雇用者減と失業率の悪化につながったとしている。

雇用者数の前月比での変化を業種別でみると、サービス部門では、宿泊・飲食が11万2,900人減と2020年4月以降で最大の減少幅を記録し、雇用者数の減少を牽引した。宿泊・飲食の雇用減少のほとんどを占めるオンタリオ州とケベック州では、オミクロン変異株拡大により屋内飲食が禁止されたことが影響した。その他、情報・文化・娯楽が4万8,400人減、ビジネス・建物・その他支援サービスが2万1,900人減で、サービス部門全体では22万3,100人減となった。生産部門では、製造業が1万400人減だったが、建設が2万2,600人増加し、生産部門全体では2万2,900人増となった。

雇用者数の減少は、パートタイムでは11万7,000人減、フルタイムでは8万3,000人減と広範囲に及んだ。また、雇用されているが、通常の半分以下の労働時間で働いている人が62万増となり、2020年3月以降で最大の増加幅になった。

今回の数字について、カナダ帝国商業銀行(CIBC)のシニアエコノミスト、アンドリュー・グランサム氏は「失業率上昇が市場予想より急だったとはいえ、ロックダウン措置が短期間で終わるという期待や、(経済)再開段階での従業員採用の難しさから、オミクロン株流行の中でも企業が従業員を維持しようとした痕跡もあった」と述べた(CTVニュース2月4日)。また、カナダ中央銀行は1月、雇用環境が大幅に改善し、経済のスラック(需給の緩み)は吸収されたとして、3月の利上げを示唆しており(2022年1月27日記事参照)、BMOキャピタル・マーケットのチーフエコノミスト、ダグ・ポーター氏は「(今回の数字が)カナダ中央銀行に大きな影響を与えるとは思わない。これは完全に一時的な制限に関連したもので長続きしないとみているだろう」と述べた(ロイター2月4日)。

(大塚真子)

(カナダ)

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