映画産業は新型コロナ禍前の水準に回復せず、新分野での巻き返しに期待

(中国)

上海発

2022年02月25日

中国国家映画局の統計によると、2021年の中国における映画興行収入は472億5,800万元(約8,506億4,400万円、1元=約18円)と、2020年の204億1,700万元は大きく上回ったものの、新型コロナウイルス禍前の2019年の水準(642億6,600万元)を依然として大きく下回っている。

厳しい市場環境が続く中、中国の映画界はマーダーミステリーに関連したビジネス展開に注目している。マーダーミステリーとは、現在中国で若者を中心に一大ブームとなっている、参加者自身が事件の登場人物となり、シナリオに沿って犯人を探し出す体験型の推理ゲームだ。

映画業界大手の「万達電影」は2021年8月、上海市楊浦区五角場の万達映画館でマーダーミステリー体験館「万影尋踪」をオープンした。万達電影の王会武董事会秘書(取締役会書記役)は「映画ファンの反応を確認しつつ、今後は市場の需給と発展状況をみてビジネスを拡大させていきたい」としている(「新浪財経」2022年2月11日)。

関連ビジネスのルール化に向け、上海市政府は3月1日から「上海市密室マーダーミステリー内容管理暫定試行規定」(滬文旅規〔2022〕1号外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます)を施行する。同規定では、シナリオの届け出、場面や服装、道具などの自主審査、シナリオによっては未成年者の入場制限を行うよう事業運営者に求めている。また、事業運営者が治安、消防、衛生などの関連法規制に違反した場合、監督部門による指導や処罰が行われる。遼寧省政府も2月17日、関連規定を制定し、即日施行した。今後、他の地域でも当該ビジネスのルール化に向けた取り組みが進展する可能性がある。

(孟矜)

(中国)

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