モリソン首相、大学研究の商業化に22億豪ドル支援と発表

(オーストラリア)

シドニー発

2022年02月04日

オーストラリアのスコット・モリソン首相は2月1日、大学の研究の商業化を支援するため、22億オーストラリア・ドル(約1,804億円、豪ドル、1豪ドル=約82円)のアクションプランを発表した。イノベーションと産学連携を促進し、新型コロナウイルス禍からの経済回復を加速化する狙いがある。

今回発表した「大学研究商業化(URC)アクションプラン外部サイトへ、新しいウィンドウで開きます」では、2020年10月策定の近代製造業戦略(2020年10月5日記事参照)で定めた6つの優先分野(資源技術や重要鉱物の加工、食品・飲料、医療用製品、リサイクルやクリーンエネルギー、防衛、宇宙)での商業化に焦点を当てる。

アクションプランの中心となるのは「オーストラリアズ・エコノミック・アクセラレーター(AEA)」と名付けられた競争的資金プログラムで、今後10年間で16億豪ドルを拠出し、いわゆる「死の谷(Valley of Death)」に直面し、商業化できずにいる大学の研究プロジェクトを支援するため、3段階で資金提供を行う。また、大学が産業界と協力して商業化に取り組む、優先度の高い研究プロジェクトに今後5年間で2億4,300万豪ドルを拠出する。さらに、オーストラリア連邦科学産業研究機構(CSIRO)によるベンチャーキャピタル(VC)、メインシーケンス・ベンチャーズに1億5,000万豪ドルを拠出し、研究開発から商業化を目指すスタートアップを支援する。そのほか、産学連携を促進する分野での博士課程の学生や研究員の支援に2億9,600万豪ドルを投じる。

モリソン首相は「オーストラリアの研究の85%は世界水準かそれ以上であると評価されているが、商業化の面では十分な成果を出せていない」と述べ、取り組みの重要性を強調した。

(住裕美)

(オーストラリア)

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