JCCが2021年下期の景気動向調査を公表、日系企業の業況感は大きく伸長の見込み

(タイ)

バンコク発

2022年02月02日

バンコク日本人商工会議所(JCC)は2月1日、「2021年下期タイ国日系企業景気動向調査」を公表した。それによると、在タイ日系企業の業況感DI(注)は、2021年上期に33と前期(24)からプラス幅が拡大したが、2021年下期は14で前期(33)からプラスを維持するものの、プラス幅は縮小する見込みだ。2022年上期は41となり、プラス幅が大きく伸長する見込みとなった。

詳しく見ると、2021年上期の実績値は33となった。食料品(マイナス22)と建設・土木(マイナス33)を除き、業況はおおむねプラスとなり、前期(24)から改善した。

2021年下期の業況感はプラス14で、前期(33)からプラス幅は縮小した。その要因として、新型コロナウイルス感染拡大に加え、世界的な半導体不足や原材料価格の高騰などが挙げられる。この点、製造業では、特に輸送用機械(75→マイナス3)、鉄鋼・非鉄(69→マイナス12)、化学(50→8)などの業種で減少幅が大きかった。原材料高の高騰に加え、物流コストの増加を業況悪化要因として挙げる企業が多くみられた。また、非製造業では、商社(50→30)など下落幅が大きな業種がみられた一方で、小売り(28→64)、運輸・通信(31→49)などの業種は前期から業況が改善した。改善要因として、小売りは消費者需要の回復、運輸はコンテナ不足による運賃の高騰など国際物流の特需、通信は在宅勤務の増加や情報セキュリティー面での需要増加などが挙げられる。

2022年上期の見通しは全業種がプラスとなるなど、業況は大幅に改善(14→41)する見通し。新型コロナのオミクロン型変異株による感染拡大の懸念はあるものの、感染拡大の収束に伴う国内需要の回復や、原材料不足解消などに対する期待感が業況の上向き要因となった。

(注)業況感DI(Diffusion Index)は、前期と比較して業況が「上向いた」と回答した企業の割合から、「悪化した」とした企業の割合を差し引いたもの。プラスの場合は、前期に比べ業況が改善している企業が悪化している企業よりも多いことを示している。マイナスの場合は、前期に比べ業況が悪化している企業の方が多いことを示している。

(岡本泰、ナオルンロート・ジラッパパー)

(タイ)

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