新型コロナ感染第6波にピークアウト感、カタルーニャ州も規制緩和へ

(スペイン)

マドリード発

2022年02月03日

スペイン保健省の2月1日の発表によると、直近14日間の新型コロナウイルス新規感染者数は10万人当たり2,694.44人となり、3,400人近くに達していた1月中旬から低下が続いている。1日当たりの新規感染者数もピークの約17万人から、半月で8万人弱まで減少した。うち9割はオミクロン型変異株による感染で、感染者の相当部分がワクチン接種率の低い15歳未満で占められる。引き続き高い感染率ではあるが、ワクチン接種率が人口全体の80%を超えていることもあり、重症者は少なく、集中治療室(ICU)の病床占有率も前年冬の第3波の約半分の22%程度に抑えられている。

こうしたオミクロン株特有の感染状況も考慮し、感染第6波で全国一律で適用しれている規制は、前年末に復活した屋外でのマスク着用義務と、陽性者の自主隔離(7日間)のみとなった。一部の自治州がワクチン接種証明(または陰性証明、回復証明)の提示義務や、ディスコなど夜間娯楽施設の営業制限や閉鎖を行っているが、そのうち大部分の自治州は2月中にこれらを順次解除する予定。マドリード州など、独自規制を一切導入しなかった州もある。

観光、モバイルの2大展示会も着実に規模を回復

カタルーニャ州だけが上記の措置に加え、大量検査や学校での感染早期発見と隔離の強化をしており、バルセロナをはじめとする高感染地域での夜間外出禁止など、例外的に厳格な対策を実施してきた。しかし、感染力の強いオミクロン株の流行下では、大量検査により無症状者数が膨らみ続ける結果となり、その実効性が疑問視される中、同州政府は1月下旬のピークアウトと並行して、接種証明提示を含むほとんどの規制を解除した。2月中旬の夜間娯楽施設の営業再開も決定し、再びニューノーマルへと戻ろうとしている。

2月28日~3月3日にはバルセロナで世界最大級のモバイル展示会「GSMAモバイルワールドコングレス(MWC)」が開催される。主催者のMWCによると、会場面積は前年の3倍に拡大し、150カ国以上から出展企業約1,500社、1,000人超の登壇者が参加を予定している。来場者のホテル予約件数も1月中旬時点で前年の10倍、新型コロナ禍前の2019年の水準の3割近くまで戻した。バルセロナは同展示会を皮切りに観光の本格回復を目指している。

なお、第6波の最中の1月19~23日には、世界最大規模の国際観光展示会FITUR2022がマドリードで開催され、127カ国から11万人が来場。うちビジネス来場者は8万人と前年から倍増し、さらに3万人がオンライン参加した。過去最高となった2020年の26万人にはまだ届かないものの、今後の観光の回復を期待させる明るい話題となった。

(伊藤裕規子)

(スペイン)

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